カイト・カフェ

毎朝、苦みのあるコーヒーを・・・

「バレンタインデーに問題解決の方法を考える」~子どもたちに正しい悩み方を伝授しよう①

何となく今朝は、
昔を思い出して子どもたちに語りかけたい気分。
このさき思いつめて生きて行きそう子どもたちに、
正しい悩み方を伝授しよう。
という話。(写真:フォトAC)

【バレンタインデーですね】

 みなさんおはようございます。
 今日は何の日か、もちろん知っていますね。セント・バレンタインデー。日本では女の子から男の子にチョコレートを渡して告白していい日ということになっています。
 さて我がクラスの17人の男子、今日、もらえることになっている人は何人いるのだろう?我がクラスの16人の女子、もう誰かにチョコレートを渡しちゃったかな? これからかな? もちろんそもそもそんな気はなかったからひとつも持ってこなかったという子もいれば、しっかり17個も持って来て全員に公平に配ろうという人もいるかもしれないね。
 けれどいずれにしても、お願いだから私に見つからないようにしてください。見つければ立場上、やはり取り上げなくてはならない。そしてみんな知っての通り、私はめっぽう甘いものには目がなく、誘惑には弱い方なのだ。
 だからどうかわたしの目の届かないところで目的を果たしてくれ。心かからお願いする。

 さて、しかしここにいるみんなは、必ずしも心に秘めた決心のできている子ばかりではない。中には今日「コク」ろうかどうか本気で想い悩んでいる子もいれば、チョコを持ってこなかったことに今さら後悔している子もいるかもしれない。男子の中には「ボクは絶対にもらえない」と絶望的なきもちで登校してきた子もいれば、逆に「あの子から渡されたらどうしよう」とありもしない夢に悩んでいる子もいるかもしれない。
 そこでそんな子たちのために、今日はまず、ものごとの悩み方、問題解決の方法について話しておきましょう。

【問題解決の二つと三つ】

 問題解決には二つの方法、三つの方法の二種類があります。これを私は「問題解決の二つと三つ」と呼んでいます。状況に応じてどちらかを選びます。

 例えば勉強や部活で成績が上がらない、生徒会の運営がうまく行かないといった場合、つまり何かに行き詰ったとき使うのが一つ目の「問題解決のための二つ」です。
 行き詰ったらすべきことは――、

  1. それまでやってきた方法を180度転換する
     これはなかなか勇気のいることです。例えば――30年近く昔の長野オリンピックの時の話ですが、スキーのジャンプ団体戦で2回とも大ジャンプを見せて日本を優勝に導いた岡部という選手、この人はオリンピック直前のワールド・カップでさっぱり成績がが伸びず、絶望的になった時、とんでもない決心をしたのです。途中で試合を諦め、さっさと北海道に帰ってきてしまったのです。ワールドカップで徐々に成績を伸ばし、オリンピック本番で最高点に達するという計画を、いったんは捨ててしまったというわけです。
     そして北海道でひとり黙々と練習を続け、最後の最後の試合で成績を出して日本代表に選ばれて本番では日本に金メダルをもたらしたのです。
     それまでのやり方を完全に変えることで問題を解決した代表的な例です。しかし途中で投げ出すのは勇気がいりますよね。

    2番目のやり方は、
  2. それまでやってきたものをさらに徹底する
    というものです。分かりやすいですね。とことん突き詰める。とにかくやり続ける。

 ただし「問題解決のための二つ」は、双方を行ったり来たりすることはできません。180度転換する場合も絶対にやり直さない覚悟が必要で、逆に同じことを徹底する場合にも、途中で迷わないことが重要なのです。180度転換したものを元に戻すことはできませんし、途中から180度転換することもできません。形の上ではできますが、何ひとつ成果を生み出さない一番悪いやり方だからです。

【問題解決のための三つ】

 二つ目の「問題解決のための三つ」は次のようなものです。

  1. 問題を見る視点を変えてみる
     真正面に見据えていたものを斜めから見てみる、裏から見てみる、新鮮な目で見直すということです。これには簡単な方法があって、別の人だったらどう考えるだろう、賢いA君ならどう思うのだろう、チャランポランなB君の目にはどう映るだろうといったふうに考えると案外うまく行きます。。そのやり方の中に、新しい発見があるかもしれません。
  2. 本質に立ち返る
    もう一度最初から検討しなおしてみる。原理的なものに立ち返る。そのことの必要性や存在そのものから検討しなおす。
    なぜその問題は起こったのか、どうしてここまで複雑になってしまったのか、この事件は全体の中でどういう意味を持っているのかといったことを、総ざらいで見つめ直すことです。
    そして最後に、
  3. 放り出す
    世の中には時間で解決するしかない問題があります。待っていれば何とかなる問題もあります。放っておくのが一番いい場合だってあるのです。

 ただし世の中には絶対に解決しない問題、考えても答えの出ない問題--そういったものもあるのです。明日はそういう超難問についてお話ししましょう。

(この稿、続く)