カイト・カフェ

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「ボンボリはなぜ”雪洞”と書くの?」~本物の雪洞に明かりを入れてボンボリにしました

 久しぶりの大雪。
 塀に降り積もった雪に、穴を開けてローソクを立てた。
 ほんのりと明るい燈明がともる。
 もしかして、これが雪洞(ボンボリ)の語源なのか?
という話。(写真:SuperT)

【雪洞に明かりを入れてボンボリにしました】

 今年は暖冬で、このままいけば一回も雪かきせずに終わるかもしれないと思っていたらこの大雪。一日に3度もさせられればさすがにウンザリしてきます。昔はあまり苦にならなかった雪かきですが、齢を取ったぶん力はなくなり、疲労が残ります。
 さらに昨夜などは3度目が終わったとたんに除雪車が来て、一気に片付けてしまったので疲労感が徒労感に一瞬で代わり、顎が出ました。ま、それも運ですけどね。

  大人ですから雪が降っていいことは何ひとつないのですが、それでも20cm以上積もればいつもやるのが写真の「ボンボリ」です。単に積もった雪に穴を開けてローソクを立てるだけですが、これが意外に、あっと驚くファラデーの「ローソクの科学」。
 雪の天井は熱で溶けるものの水滴が落ちて火が消えることはなく、風さえなければ雪に埋もれたローソクの最後の部分まできちんと燃えて、わずかな芯のカスが残るだけなのです。上手くできていますよ。

【ボンボリはなぜ”雪洞”と書くの?】

 ところで「雪のボンボリ」と言いましたが、ボンボリは漢字で書けば「雪洞」。まさに私がつくったものと同じです。しかしこんなに簡単なのに《雪に穴を開けてローソクを立てる》という風習は聞いたことがありませんし、それがひな祭りの「ボンボリ」の起源だなどといった話はどこにもありません。
 だとしたらひな祭りのボンボリはなぜ「雪洞」と書くのでしょう?

 ネットで検索しても「雪洞」と書く理由はあまり説明がなく、小学館の公式サイト「サライ」にこんな記述があるだけでした。
 「ぼんぼり」はなぜ「雪洞」という漢字が当てられるのでしょうか? 「雪洞」という言葉はもともと「せっとう」と読み、お茶席で炉にかぶせておく覆いを指す言葉でした。その覆いは白い和紙に窓をくり抜いたものだったので、雪のかまくらに見立てて「せっとう」とよばれていました。
 その雪洞(せっとう)の形をヒントに生まれた照明が「ぼんぼり」です。そのため、「雪洞」という同じ漢字のまま、呼び名だけ「ぼんぼり」に変えて使われるようになりました

 よく分かったような分からないような話ですが、実物を見ればすぐに分かります(右の写真)。
 それではなぜ雪洞の形をした照明は、「ぼんぼり」という名になったのでしょうか? それは、「灯りが“ほんのり”見えることに由来しています。「ほんのり」が訛って変化し、「ぼんぼり」という語が生れたといわれています。

 こちらの方は同じ説明がたくさんありましたから大丈夫でしょう。

【あかりはボンボリに、アサリはボンゴレに】

 ところで、大昔、童謡「うれしいひなまつり」を、こんな歌詞で歌った人がいました。
「♬アサリを入れましょボンゴレに♬」

 嘉門達夫という人でしたが、おかげでボンゴレ・ビアンコがアサリ入りのスパゲティだと覚えられました。
 この替え歌、秀逸でしょ? それとともに元歌「♬あかりをつけましょボンボリに♬」の題名が「ひなまつり」ではなく「うれしいひなまつり」だったと初めて知って、驚いています。