カイト・カフェ

毎朝、苦みのあるコーヒーを・・・

「カボチャを食べて冷酒飲んでお風呂に入る」~明日は冬至です

 明日は冬至。一年で一番夜の長い日だ。
 しかし一番日の出が遅く、一番日の入りが早いわけではない。
 そこのところを、カボチャと小豆粥を食べ、
 冷酒を飲みながら柚子湯に入って考えよう。
という話。(写真:フォトAC)

冬至と日の長さ】

 明日、12月22日は冬至です。二十四節気の中で太陽の運行との関りが最も意識されやすい春分夏至秋分冬至のなかで、1年で最後に訪れる、一日の中でもっとも夜の長い日です。
 ちなみに明日の東京都の日の出は6時47分13秒、日の入りは16時31分42秒で、日中の時間はほぼ9時間45分。それに対して夏至(今年は6月21日)の日の出は4時24分43秒、日の入りが19時00分33秒でしたから昼間の時間は14時間36分ほどです。差し引くと5時間9分ほどになりますから、とんでもないことです。
 確かに中学生などは今の時期、薄暗い時刻に登校を始め、真っ暗になってから家に帰ってきます。
 
 私は管理職になったばかりのころ、単身赴任の気楽さもあって午前4時半には出勤していました。冬は深々と凍てつく中を登校し、暗闇の中で開錠して校舎に入るわけですから「ああ、オレってなんて立派な教師なんだ」と自画自賛の雰囲気になれるのですが(こういうヤツが教師の労働環境を悪くした、と今は言わないでください)、夏至のころは既に外光で明るい職員室に入って一仕事し、二仕事を終えても誰も出勤して来ない。
「あれ? 今日は休日だったの?」
と思って時計を見るとまだ6時。
「そりゃ、来るはずない」
とひとりツッコミすること再三でした。なんともとぼけた話ですが、日本というのは夏冬まったく違う、そういう国なのです。
 
 もっともヨーロッパや北欧はさらに極端らしく、スウェーデンなどではいまの季節、太陽の昇って降りるまでの時間はわずか6時間ほどになってしまうといいます。一昨日のNHK国際報道2023では、そのスウェーデンで開かれた聖ルチアの祭典を紹介していましたが、北欧の人々の光の聖人ルチアに対する憧憬、ひいては光に対するあこがれには、並々ならぬものがありそうです。

【日は一番短いが、日の出が一番遅いわけではない】

 一年で一番夜の長い日と言っても、冬至は「日の出が一番遅く、日の入りが一番早い日」ではありません。ここが冬至に関する知識自慢のツボで、日本の場合、日の出が最も遅い日は冬至のおよそ半月後の1月上旬であり、日の入りが最も早いのは冬至の約半月前の12月上旬なのです。北半球の北緯35度付近ではそうなる、という話です。
 12月上旬から日の入りは徐々に遅くなっているのに、日の出の遅くなる速度が勝っているので全体としては日のさす時間は冬至まで短くなり続けるという訳なのです。

【極夜と凍る言葉】

 さきほどスウェーデンの今ごろの日中は6時間程度と言いましたが、ストックホルム(北緯59度)から北へ行けば行くほど日のさす時間は短くなり、北緯66度66分以北になると、冬至の日、太陽はまったく昇ってくることも沈むこともなくなります。これが極夜(きょくや)です。
 一日中闇が続き、気温も氷点下を大きく下回って―30度、-40度といったふうになります。朝、暗闇の中で「おはよう」と言っても、言葉が相手に届く前に凍って地面に落ちてしまいます。だからとても静かな日々が続きますが、春になると凍って落ちた「おはよう」が一斉に融けて飛びかうので、とんでもなくうるさいのだそうです。

冬至の風習と冬至祭】

 冬至と言えばすぐに思い出すのが柚子湯。「冬至(湯治)風呂」という言い方もするそうで、江戸時代の銭湯から始まった流行のようです。
 また、この日には冬至粥と呼ばれる小豆粥やカボチャを食べる習慣があり、どちらも栄養の取りにくい冬場になんとか栄養価の高いものを食べさせようとして始まった風習のようです。もっとも冷酒とかコンニャクとかになるとストンと落ちて行きませんし、「冬至の『と』に因んで『と』のつく食べ物(豆腐・唐辛子・ドジョウなど)を摂る」となると、なぜそうなるのか、首を傾げざるを得ません。

 太陽の力が最も弱まった日が無事過ぎ去ったことを祝って、冬至の夜は世界各地で冬至祭が祝われます。日本でも鎖国の250年間、長崎出島で「オランダ冬至」が盛大に祝われ続けましたが、どうやらこれ、オランダ人の心の中では明らかにクリスマスの祝祭であったようです。長崎奉行も途中で気づいたようですが、今さらクリスマスでしたとは言えず、幕末まで祝ったのではないでしょうか。
(参考)

www.nagasaki-bus.co.jp