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「『人口1億2500万人』で遊ぶ」~日本の最新の人口統計が発表された

 総務省より、最新の人口統計が発表された。
 それによると日本の人口は、やや減っておよそ1億2500万人だという。
 しかしこれでも結構な数字なのである。
 自分を鼓舞するためにも、いろいろ比較するためにも、覚えておくといい。
 という話。(写真:フォトAC)

【日本の総人口が発表された】

 日本の人口が昨年より55万6000人ほど減って、1億2494万7000人ほどになったと総務省から発表がありました。12年連続の減少。死亡者数が出生数を上回る「自然減」は73万1000人で16年連続だそうです。本当は73万人も減っているのに統計上55万6000人ほどしか減っていないのは、その差を外国人が埋めているから、ということなのでしょう。
 このまま行くとあと170年ほどで日本の人口はゼロになります・・・というのは単なる数字のお遊びです。

【慰めの数字】

 日本の総人口はおよそ1億2500万人、この数字は覚えておくと何かと便利です。
 私がよくやるのは、例えば重大なミスを犯して恥をかいた時などに、心の中で唱える「慰めの数」。
「こんなアホなミスを犯す人間はこの国で1万人にひとりくらいのものだろう。しかしそんなアホが、この国には1万2500人もいる(だからオレはダメじゃない)」
ということです。

 この慰め数字を使うと、1万人にひとりといった逸材や天才めいた人々も国内に1万2500人もいると分かり、臆することもなくなります。大谷翔平クラスになると100万人にひとりの逸材かもしれませんが、それとてあちこちの業界に合わせると125人もいるのです。大したことはありません。怯えることもありません。

【面積・人口:日本は案外な大国である】

 大昔の交通安全標語に「狭い日本、そんなに急いでどこ行くの?」というのがありました。
 確かに日本は、合衆国やロシア・中国といった国々と比べると面積の小さな国ですが、世界の独立国197の中では面積の広い方から数えて61番目、小さな方から数えると137位ですから決して「小さな国」という印象にはなりません。
 西ヨーロッパ(EU加盟国)に当てはめてみると、日本より面積の広い国はフランス・スペイン・スウェーデンの3カ国のみで、案外日本は面積でも大国なのです。また、世界にはさまざまな島がありますが、日本の本州は第7位と、かなりいい位置にいることが分かります。
 
 (話を人口にもどして)
 では今回の総人口1億2500万人は世界の独立国の中で何番目くらいに当たるかというと、これも11位でなかなかの健闘です。ただしつい十数年前までは6位くらいにいましたからずいぶん落ちたと言えばその通りです。
 日本より人口の多いのは中国・インド・アメリカ合衆国インドネシアパキスタン・ナイジェリア・ブラジル・バングラディシュ・ロシア・メキシコ。背後からはエチオピアやフィリピンが迫ってきていています。背後に迫る国々の多くは今もなお人口爆発の途上にありますから、日本の順位はさらに落ちていくことになるでしょう。
 しかしそれでもなお、日本は「人口の多い国」と言っていい状況があります。

【一方、「世界の大国」は意外と人口大国ではない】

 政治・経済・国土あるいは文化、そういったものをひっくるめて「大国」といたイメージを持つ国がいくつかあります。例えばG7の国々。
 
 これらの国を人口比で比べると合衆国が日本の2・6倍は別格として、イタリア・フランス・イギリスは日本のほぼ半分(0.47~0.54)、ドイツが三分の二ほど(0.67)、カナダが三分の一以下(0.31)となって、印象もずいぶん変わってきます。
 他の有名どころで言えばロシアが日本の1・15倍(大雑把に2割増し)、中国とインドが11・5倍、お隣の韓国は日本の4割強、ちょっと気になるトルコがドイツと同じくらいで日本の三分の二ほど(0.68)です。
 日本は人口から見ても、なかなかの大国です。
 
 おおよその人口比を覚えておくと、例えば「新型コロナ死、日本7万4000人、イギリス22万人」と言うときの22万人の重みがずっしりと分かってきます。実数では3倍ですが人口が半分程度しかありませんから、単位人口当たりの死者は5・7倍にもなるのです。感染の一番激しい時期のイギリス人の恐怖が、ひしひしと伝わってくるようです。

【外国を日本に置き換えてみる】

 ちなみにかつての学力大国フィンランドの人口は554万人で、日本のわずか4・4%。日本で言えば兵庫県程度です。その兵庫県が単独の言語(ヒョーゴ語)を持ち、独自の企業活動を行っていると想像すると、さまざまなに浮かんでくることがあります。
 ヒョーゴ語の書籍とか映画とかだけでは、おそらく娯楽教養経済は回って行きません。たった550万人のために翻訳書やヒョーゴ語版をつくるわけにはいかないのです。兵庫国内には日本語が満ち、ヒョーゴ語を母語としながら日本語にも堪能な人間がどんどん生まれてきます。
 フィンランド人が外国語に堪能なのも当たり前だということも分かります。