カイト・カフェ

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「中国ゼロコロナ政策の見直し:本当に何もしなくなるとは・・・」~冬休み中に思ったこと感じたこと②

 中国のゼロコロナ政策の見直し、
 政府はたいへんなことになると思っていたが、そうでもなかったようだ。
 なにしろ何もしないのだから。
 それがこの国の恐ろしくもすごいところ。
 という話。(写真:フォトAC)

【中国という乱暴な国】 

 大学での専攻が中国近代史でしたので好き嫌いとは無関係に今も興味はあるのですが、中国というこの国、ロシアやベラルーシといった他の独裁主義国(または権威主義国)と同様に、とにかくやることが乱暴というかスマートではありません。

 これがトランプ以前のアメリカあたりだと、かなり繊細で丁寧で、もちろんやろうとしていることは中国・ロシアと同じでも、世論を慮って時間をかけ、なんとか体裁を整えて先に進む、そんな感じがあるのです。少なくとも恰好付けに苦労はしている。
 
 具体的に言えば2003年の多国籍軍によるイラク侵攻に際して、アメリカはフセイン政権が大量破壊兵器保有しているというデマを丁寧にでっち上げ、仲間を募り、十分な準備をして攻め込みました。ところが同じことを2022年のロシアがウクライナでやろうとすると、いきなり大量の戦車部隊を送り込んで逆に散々な目に遭ったりする、そんな調子です。
 
 現在の国際情勢からして中国が台湾獲得のため戦争に打って出る外的条件はほとんどないにもかかわらず、世界が緊張しなくてはならないのはそうした事情があってのことです。何の予兆もなく、いきなり戦争をしかねない、そんな乱暴な習近平政権には漂っているのです。今回のゼロコロナ政策放棄も似たようなものでした。

【まさか本当に何もしなくなるとは】

 私は12月2日の段階で“中国がゼロコロナ政策を棄てるとしたら大変なことだ”と記事にしました()。
 なにしろ新型コロナの発生源でありながら3年近くに渡って感染拡大をほぼ抑えきって来た国、しかもその間、欧米の高品質なワクチンを導入するでもなく、自国のワクチンを徹底するでもなく、ただウイルスに対して初心な国民を初心なままに放置してきたのです。ここにオミクロン株が入ったものならひとたまりもありません。

kite-cafe.hatenablog.com

 だれでも思いつきそうなこの予想は簡単に当たり、今や中国の感染者は5億人だとか8億人だとかさまざまに言われる巨大感染地帯となってしまいました。そこまでは予想通りです。
 ところがその巨大な感染者や死者を、中国政府が丸ごと放置してしまったのです。そこまではまったく予想できませんでした。感染が広がったら対応しなくてはならないというのは極めて民主主義的な思い込みで、権威主義国の権力者は大真面目に“自分さえよければそれでいい”のかもしれないのです。

 一説によると今回のゼロコロナ政策撤回は11月末に周近平国家主席自身が感染してしまい、それが意外と軽かったことで「一度罹患してしまえば再感染しても大したことはない」、ということで急遽きまったそうです。荒唐無稽な説にも聞こえますが、案外これが事実かもしれません。あとは野となれ山となれ!
 感染しても仕事を休むな、経済を止めるな。医師や看護師は自ら点滴を打ちながらでも患者の面倒を診ろ(ホントかな?)といったムチャクチャは、そうした身勝手からしか起こり得ないような気もします。

【なんでも起こり得る、不思議で恐ろしい世界】

 日経新聞の新型コロナウイルス感染世界マップによれば、中国では12月2日に2名のコロナ死が報告されたあと、19日に7名、26日に1名、27日に3名の発表があり、28日~1月1日まで毎日1名ずつ報告があって2日が3名、3日が5名、4日に1名と不思議な報告が続いたあと、5日にとつぜん数値が10日前に戻ってしまいました。12月26日~1月4日までに亡くなった18人が生き返ってしまったわけです。

 もっともこれまでの中国の発表するさまざまな数字の大部分はかなり怪しいものでした。12年前に高速鉄道が事故を起こした時には衆人環視のなかで車両を土に埋めるという大胆な解決策を示した中国のことです。数値を穴に埋めるくらい造作もないことなのでしょう。
 もしかしたら正確な感染者数や死者数は政府当局ですら掴んでおらず、調べる気さえないのかもしれません。感染拡大を少しでも抑えて国民を保護しようという気がまったくないのですから、調べる意味もないのでしょう。
 それも中国です。

 最近では、「感染放置は高齢者を一掃することによって年金問題を一気に解決するため」とか「新たな変異種を生み出してそれを世界中に供給することで、中国の感染爆発を目立たなくさせるため」とか、あらゆる荒唐無稽がささやかれるようになっていますが、そのいずれも笑い飛ばせないところがこの国の恐ろしさです。