「みんなただのジジイになった」~40数年ぶりの同窓会にいってきた1

  大学時代のゼミの
 なんと40数年ぶりの同窓会が開かれた
 しかも当時の仲間の 半数近くが全国から集合した
 いずれも60歳を過ぎたジジイだが
 それぞれに語るべき人生があり
 振り返る思い出あった 

という話。

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【みんなただのジジイになった】

 大学時代のゼミの、なんと40数年ぶりの同窓会が開かれて参加してきました。

 これといったきっかけがあったわけではなく、この40年余りのあいだ、マメにメンバーとの連絡を保ってきた一人が発起人となって集合をかけたのです。

 聞いてみると二十代の間はそれでも細々とつながった関係はあったものの。社会人として忙しくなるに連れて疎遠となり、いつしかみんな離れ離れになっていたようです。
 私個人について言えば卒業後一年間くらいは顔を合わせることはあっても、以後、誰とも会わずに今日まで来てしまいました。

 それが60代となって数年たち、こんなふうに多くが集えることになったのには理由があります。

 ひとつはいうまでもなくほとんどが定年退職となり、時間的余裕ができたこと、もうひとつは全員が同じようにダダの初老の人となったことです。

 人の30代40代というのは案外難しいもので、その時期その時期で失意のとき得意のとき、逆境のとき順境のときと、さまざまな状況にあったりします。だからそんな時期に同窓会を開いても参加できない人もいて、やがて参加しないことが常態となり、そのまま忘れ去られることが多いのです。

 ところが60代だと社会的地位の高低もなく、とりあえず全員が不遇の人です。みんなが社会の脇道で、ひっそり働いていたりのんびりしていたりします。
 欲望も枯れ果て、子育て等に必要だった支出もありませんから、財産の多寡も気になりません。あるのは共通の思い出とそれぞれの人生譚だけです。
 いいものですね。

 

【私個人のこと】

 その会場に向かう前、私はこれも40数年ぶりで自分の大学を散策してきました。もちろん建物はすっかり変わっていてどこにも思い出を沸き起こすものはないのですが、それでも植栽や木々の場所は変わらず、当時の雰囲気は自然の中に感じ取ることができます。

 そして思ったことは、
「もっと前向きで、素直な学生生活を送ればよかったな」
ということです。
 なぜあれほどまでに気難しく、屈折した毎日を送っていたのか――。

 人生には決定的要素というものはなく、あれを選ぶのとこれを選ぶのとの間に大差はない――それが60余年生きて来て得た知恵です。
 例えばAの職業とBの職業のどちらを選んでも、私はそこそこの成果を上げ、十分に満足な人生を送れたはずです。なぜならAかBかの選択をしようとした時点ですでに私に合った、可能なものしか考えていないからです。そして私の人格は、自分の能力の範囲でほぼ完成に近づいていましたから、どんな職についっても同じように誠実に努力し、同じ程度に失敗や誤謬を犯し、同じような成果を得たに違いないのです。

 あるいは、今の妻の代わりにXさんを選んでいたら、Yさんと一緒だったら――そういうことは考えたことがないのですが、それは誰を選んだにしても、夫婦としてのどんな生活を送ったにしても、結局はその人を今の妻のように育てたに違いないと分かっているからです。どうやっても元の木阿弥なのです。

 だから今、学生時代の自分に出会えたら、こんなふうに忠告してあげられるはずです。
「うすうす気づいていると思うが、キミは自分で考えているほど凄い奴じゃない。けれどそんなつまらない人間でもない。だから今あるように誠実に努力を重ね、しかし今あるのとは違って人を楽しみ、人生を謳歌すればいい。どう暮らしたって将来もまた楽しいものになるに違いないからだ」

 

若い人たちに伝えたいこと】

「人生は一箱のマッチに似ている。重大に扱うのは莫迦莫迦しい。重大に扱わなければ危険である」
 そう 言ったのは芥川龍之介です。しかし言葉とは裏腹に、彼は人生を重大に扱いすぎたために自殺してしまいました(と私は思っています)。

 人生といえど思い詰めて自殺していいほど重大なものではありません。舐めすぎてもいけませんが舐めてかからなければならない場面も少なからずあります。

 社会は普通の、弱い人間が、自分たちの生き易いようにつくった柔らかい構造物です。ですから怖れず、精一杯生きていけばなんとかなるようになっているのです。
 気楽に、がんばって行こうよ。

 

                                                                                   (この稿、続く)

 

 

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