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「シェイクスピアの命日」〜文豪に関するウンチク、あれこれ

f:id:kite-cafe:20190421151455j:plain ジョン・エヴァレット・ミレー 「オフィーリア」 (パブリックドメインQ)

 今日、4月23日はシェイクスピアの亡くなった日だそうです(1616年)。

 以前にも書きましたが、私が生年没年ともに知っている偉人はシェイクスピアだけで、1564年に生まれ1616年に死んだとすぐに言えます。
「人殺し(1564)に生まれていろいろ(1616)やって死んだ」
と覚えればいいのです。  

 また、日本で、織部さんの祖先は宮中で布を織っていた人、その布を衣服に仕立てたのが服部さんというのが確かなら、シェイクスピアの祖先は間違いなく歩兵です。「Shake(振る)spear(槍)」ですから。
 ただしシェイクスピアの場合は最後に「e」が一つつきますから(Shakespeare)もしかしたら関係ないのかもしれません。

シェイクスピアの名台詞】

 英語から聖書とシェイクスピアの慣用句を全部削ったら、表現は半分以下になってしまうと言われるように、シェイクスピアの台詞は繰り返し利用されます。有名なものとしては、
「弱きもの、汝の名は女」
「生きるか死ぬか、それが問題だ」
「尼寺へゆけ!」
は、いずれも「ハムレット」。
「おお、ロミオ、ロミオ、どうしてあなたはロミオなの?」
は言わずと知れた「ロミオとジュリエット
「どんなに長い夜も、必ず明ける」(「マクベス」)
「どうしてこんなに気が滅入るのだろう」(「ベニスの商人」)
 すぐに思いつくのはそのあたりでしょうか?

 ただし誤解されている台詞も多く、例えば「弱きもの、汝の名は女」は、別に女性は弱者だと言っているのではなく、夫の死後間もなくその弟と結婚してしまった母親を嘆いて、ハムレットが「誘惑に弱きものよ、汝は・・・」という意味で使ったものです。
 だから女性は、男性に力仕事をさせようとしてこの台詞を引用するのは、むしろ墓穴を掘るようなものですから注意しなくてはなりません。

「尼寺へ行け!」は使いようがないので心配することもないと思いますが、英語の尼寺(Nunnery)には「売春宿」という意味もあるそうですから要注意です。知らなかったでは済まない場合だって出てくるかもしれません。

【ハム役者と大根役者】

「生きるべきか死すべきか、それが問題だ」
はあまりにも有名で、英語圏の人たちもやたら使って役者気分を味わおうとするそうです。そんなことから素人役者、または素人並みに下手クソな役者を、「ハムレット役者」、縮めて「ハム役者(ham actor)」と言ったりします。
 日本では下手な役者のことを「大根役者」と言いますが、これは大根がどんな食材と食べ合わせても絶対に「あたらない(食中毒にならない)」という言い伝えから、どんな役を演じても「アタリ」を取らない役者のことをそう呼ぶようになったということです。

 しかし私は上のような説明を数十年前に聞いてすっかり信じ込んでいましたが、今回ふと思いついてWikipediaで調べたら、他にもいっぱい説があるみたいで多少がっかりしています。
「大根役者」  「ham actor 」

【その他もろもろ】

 シェイクスピアの四大悲劇と言えば「マクベス」「リア王」「ハムレット」「オセロ」です。うっかりすると「ロミオとジュリエット」を入れてしまいそうですが、それを入れないところがミソ。思い出そうとするときに、まずこれを外して考えるのがコツです。

 日本生まれのゲーム「オセロ」は、シェイクスピアの「オセロ」が、黒人の将軍と白人の妻を中心とした激しい裏切りの物語であることからつけられたと言われています。

 また、シェイクスピアの戯曲はたびたび映画化されていますが、換骨奪胎して全く違った雰囲気で成功した作品もいくつかあります。
ロミオとジュリエット」を現代のニューヨークに置き換えたミュージカル「ウエストサイド物語」や、「リア王」を戦国時代の日本に再現した黒沢明監督の「乱」などがとくに有名なところです。