「チェーンソー男とツッパリ君」①〜ブログを休んでいる間にあったこと考えたこと

 休むと決めたのだからきちんと休まなければいけないと思って2週間ほどブログをお休みましたが、その間なにもなかったわけではありません。「ああ、このこと記録しておかなくちゃ」とか、「いい話聞いた、皆に話そ」とか思ってメモしたことがいくつかありますが、やはり時間を置くと味が落ちるものです。新鮮でないものは今から熟成させてもダメです。
 しかしだからと言って全部反故にしてしまうのももったいないので、思いつくまま、簡単に書き留めておきたいと思います。(順不同)
 

【チェーンソー男の話】

 1月6日の朝日新聞デジタル「宅配業者をチェーンソーで脅す 容疑の男、動画を投稿か」という記事が出ていました。
 テレビニュースにもなりましたから見た方も多いと思いますが、伊賀市の長谷川某(27)が早朝のヤマト運輸に押しかけ、チェーンソーを振り回して「さっさと荷物出せや」「配達詐欺しやがってオラ、ボケ、アホんだらー」などと言って倉庫の荷物を持ってこさせたという事件です。

 可笑しいのは荷物というのが自分のもので、長谷川某は着払いの代金をきちんと払ったうえで持ち帰ったこと、暴力行為の一部始終は動画で撮られてすぐにYouTubeにアップされ、それが逮捕の決め手になったこと、そもそも暴行自体が撮影目的で映像の中でも「ユーチューバー、なめとったらあかんのぉ、コラァ!」「全世界配信やぞ」とか叫んでいましたが、本人は“ヤマト運輸の不手際”を「世界配信」したつもりでも、実際に配信されたのは本人の悪事であったこと、そしてなにより、逮捕当日に受けた民放の取材の中で、まるで別人のようにおとなしく、誠実に、丁寧に謝罪したことなどです(ほんとうに別人みたいだった)。

「おでんツンツン男」はツイッターでしたが「チェーンソー男」はYouTubeです。ですから投稿によって収入が生まれるという大きな違いがあります。そこからマスメディア等ではアクセス数を増やそうとしているうちに歯止めが利かなくなったという説明がなされますが、果たしてそうでしょうか?  私はふと、30年以上前に起こったいわゆる「豊田商事会長刺殺事件」のことを思いだしました。

豊田商事会長刺殺事件のこと】

 それは1985年、悪徳商法で逮捕直前の豊田商事会長が大阪のマンションに籠っていたところ、詰めかけた大量のマスコミ関係者の間をかいくぐって二人の男が近づき、ドアの横の小窓を破壊して中に押し入り殺したという事件です。
 事件の一部始終がマスコミ各社のスチールカメラおよびVTRで撮影されており、その映像の凄まじさとともにマスコミはなぜ止められなかったのかということも問題になった事件です。
 さらにのちに、犯人のひとりが周りにいたマスコミに犯行の示唆教唆があったとして再審請求をしたように、あの場にいた人々の対応が犯行を煽ったのではないかと疑問視される側面もありました。
 私は周囲が煽ったとは思いませんが、多くのマスコミ関係者の注目と大量のカメラがなかったら、はたしてあの事件は起きたのかと疑問に思います。

「おでんツンツン男」も「チェーンソー男」も「豊田商事会長刺殺事件犯人」も、彼らを犯罪に追い詰めたのは他人の目です。前二人はネットの向こうにいる不特定多数、豊田商事の犯人の場合はテレビカメラの向こうにいる不特定多数です。
 しかしそう考えていくと彼らは何も特別な人間ではなく、私たちのよく知った部類の一部ではないかという気もしてくるのです。
 私がいま思い浮かべているのは、最近はあまり見なくなった、あの、ツッパリ君たちのことです。