カイト・カフェ

毎朝、苦みのあるコーヒーを・・・

「アメリカはどこに行くのか」②

【Mr.トランプはおでんをツンツンするのか】

 以前触れた「おでんツンツン男」*1や「チェーンソー男」*2SNSが大好きで攻撃と挑発と自慢を繰り返し、非難され攻撃さればされるほどに燃え上がて行く――眉を顰める人も少なくないが、熱狂的に支持する人々が煽るのでさらに熱くなって行く、そういった人たちです。二人とも実生活では家族を持ち、職業も持って曲がりなりにもまっとうな人生を送っていますから異常な人たちとは言えないでしょう――と、そんなふうに書いてみると彼らとドナルド=トランプがどれほど違うのか分からなくなります。三者ともまったく同じタイプに見えません?
 なのに前二者は単なる目立ちたがり屋のおバカさんとしか見なされないのに対し、トランプひとりが好意的な解釈をされるのはなぜなのでしょう?

 もう一度言います。ドナルド=トランプも「おでんツンツン男」たちも、SNSが大好きで攻撃と挑発と自慢を繰り返し、非難され攻撃されればされるほどに燃え上がて行く――眉を顰める人も少なくないが、熱狂的に支持する人々が煽るのでさらに熱くなっていく(実生活では家族を持ち、職業も持って曲がりなりにもまっとうな人生を送っているから異常とは言えない)――そういう人でしょ?  それなのにトランプは深読みしてもらえる。

 先日の記者会見についても「選挙キャンペーンモードから統治モードへの転換が進んでいない」とか「選挙中はほぼすべてマスコミが敵だったのだから、ここで引き下がるわけには行かなかった」とか、あるいは「支持者の地盤固めのために敢えて敵をつくり攻撃してるのだ」とか様々な解釈が試みられます。しかしそれはないでしょ。
 今週末には就任式だというのにいまだに「選挙キャンペーンモード」というのはそれ自体が問題です。まったく頭の切り替えができていないということですから。
 また、マスコミに対してここで引き下がれないというのでは、妥協を主要な解決策とする政治家にはあまりにも不向きです。
 そして選挙の終わった今でも支持者の地盤固めをしているなど、とんでもない判断能力の欠如というしかありません。

 しかしそうでしょうか? 果たしてそんなに難しい話なのでしょうか?
 答えはずっと簡単で、彼は喝采であれ非難であれ、世間から注目され騒がれ、実際よりも大物で魅力的な人物だと思われたくてしょうがない、そんな人なのだ、「おでんツンツン男」や「チェーンソー男」のように――そんなふうに考えていけない理由はまったくないでしょ?
 マスコミとの対決にも、深い洞察や戦略があるからではなく、ただ彼は否定されたり悪口を言われたりするのが大嫌いなだけです。言われると反射的にファイティングポーズ取り、メチャクチャ打ちまくります。
「そんなことは言っていない」「やっていない」「でたらめだ」「でっち上げだ」「フェイク・ニュースだ」
 息を吐くようにウソをつき、分(ぶ)がないと思うとはぐらかす。攻撃はするが受けごたえはしない。――だから彼は記者会見が嫌いでツイッターが好きなのです。

【スタッフはスタック(稲村)か?】

 もしかしたら日米の“専門家”たちは、あれほど有能なスタッフが後ろについていて、その上で発信される言葉だから何らかの戦略や計画があるに違いないと思っているのかもしれませが、それはトランプとスタッフの間に十分な話し合いあると思うからそうなるので、実は全く相談なんかしていない、意見をされても言うことを聞かない、そういった状況があるとしたら何の意味もありません。そして様子を見ると、その可能性の方がかなり大きいように思われて仕方がありません。

 あんな無知で無鉄砲で実現の可能性のない発言を、有能なスタッフたちが積極的に支えているとはとても思えない。をれを実際の政策に移そうとしたらすぐに切羽詰まってしまいますから。
 またその“つぶやき”は午前6時から8時台に最も多くなされているそうですが、それこそが“相談できていない”何よりの証拠です。毎朝早朝ミーティングに励んでいるといった噂もありません。
 たぶん彼は自由に好き勝手に“つぶやいて”いるのです。誰も彼を止められません。そしてやがて、すべての人々が行き場を失います。

(この稿、続く)