カイト・カフェ

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「参議院選挙終わる」④〜18歳選挙権

 非常に気持ちの乗らない今回の参議院議員選挙でしたが、ただひとつ心躍らせたのは18歳選挙権での初めての国政選挙だということです。

 18歳選挙権へ期待は今年の1月12日のブログ「成人の日あれこれ」 - カイト・カフェで次のように書きました。
「18歳選挙権」についてはもちろん賛成で、これまではせっかく義務教育と高校教育で歴史と政治を学び選挙の重要性を教えても、二十歳までの2年間にすっかり冷えて興味を失ってしまうということがありました。それが直結するわけですから投票率を上げるうえで非常に有効な気がします。
 選挙管理委員会が繰り返し「投票に行きましょう」と呼びかけるより、高校の先生が「明日投票に行けよ」という方がよほど効果的です。おまけに同じ高校3年生なのに誕生日によって行ける子と行けない子がいるという差別は、一方で特権意識を、他方で羨望を生み出すかもしれません。ですからその意味でも投票行動を動かすことになりそうです。
 候補者も若者向けの政策を次々と生み出すことでしょう。

 それだけに今回の選挙における18歳19歳の投票率はとても楽しみでした。日本の教育がどれほど優れたものか、高校教師の能力がどれほどすごいか、目にものみせてやるといった勢いだったのです(もしかしたら75%くらいは行ってしまうかもしれない)。
 ところが、
「参院選の18〜19歳投票率45.45% 平均大きく下回る」
 75%以上と踏んだのにわずか45.45%。全体の平均投票率より10ポイント近くも低い数字ですからガッカリポンです。なんでこんな悲惨な結果になってしまったのか――。

 しかし記事をよく読むとちょっと事情が変わって光明も見えてきます。
 18歳が51.17%、19歳が39.66%で、就職や大学進学の時期を迎える19歳の投票率が特に低かった。男性は43.43%、女性は47.58%で女性の方がやや高かった。

 なんと19歳と18歳で11.51ポイントも違い、18歳の投票率は大きく平均に近づいているのです。
 何が起こっているのでしょう?

 日本経済新聞は就職や大学進学との絡みで19歳が低かったかのように書いています。要するに住民票を移していないのです。選挙のためだけに田舎に帰る手間と運賃を惜しんで投票に行けなかった、それは大いにあり得ます。しかし高校生は……そこまで考えてハタと気づきました。

 私の期待した高校在学中の有権者は実際にはほんのわずかしかいないのです。
 今回新たに枠の広がった18歳19歳の有権者のうち、高校に在学している者は今年の4月から7月10日までに18歳の誕生日を迎えた、つまり全体のわずか24か月分の3か月(約13%)だけなのです。
 このわずかな子たちだけが8日の金曜日に、
「えー明後日は参議院議員選挙だ、必ず行って来いよ(ホントにいくかどうかは分からんけど)」
と先生たちに言われて帰宅した有権者なのです。

 おそらくその子たちはかなりの高率で投票に出かけた。もちろん3月に卒業した生徒の一部も頭の隅に、授業で言われた「来年(度)は参議院選挙があるから行きなさいよ」という言葉が残していてそれで積極的に出かけた――19歳を10ポイントも上回る投票率はそういう意味に違いありません。

 そうなると今度の都知事選での18歳の投票率はさらに上がる可能性があります。選挙権を手に入れる高校生が多少増えるからです。そして一度でも投票を経験した人たちに、投票所の敷居はとても低く将来も投票し続けるに違いないのです。
 注意深く見ていきたいと思います。
(ただし今のままだと早生まれの子などはよほどの幸運《3月末の選挙》のない限り在学中に投票する経験はもてないわけで、例えば「年度内に18歳になる者に選挙権を与える」とかいった具合にはならないものでしょうか。成人式にはそういう形で招待しているのですから。いちいち投票日当日の年齢確認をしなくてもいいという意味では選挙事務も楽になると思うのですが)

 今回ネット上には18歳・19歳の投票を呼び掛ける様々な試みがあったようです。そのひとつ「和歌山リア10プロジェクト」にはこんなポスターが満載されていました(以下はほんの一部)。

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 心憎いですね。
 子どもたちを選挙に行かせる努力、今後も頑張りましょう。

(この稿、終了)