カイト・カフェ

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「ガラパゴス万歳」~日本のガラパゴス化には理由(わけ)がある

 先週の土曜日、帰省していた娘がつけたテレビでAKB48の総選挙というのを見ました。ご存じのとおり指原莉乃が1位をかっさらうというとんでもない結果でした・・・と言ってもなぜそれが「とんでもない結果」なのか、指原某が1位だと2位の大島さんがなぜ腹を抱えて笑うのか、そもそもHKT48の指原がなぜAKBの選挙に出られるのか、そういう基本的なことも含めて、私はまったくわかっていません(私はももクロ派ですから・・・と言ってみる)。

 ただ一つ心が動かされたのは、その指原某の得票数が15万票余だったことです。ただの15万票はありません。CD1枚に投票用紙が1枚付いているというのですから、1枚1300円としてざっと2億円の私費がこの小娘に投じられたことになるからです。
 投票総数は264万6847票、ざっと34億4千万円。しかしこれは“総選挙”に絡む売上であって、AKB全体の年間売上は音楽ソフトのみで190億円にもなります。これでは世界に進出する気になりません。

 一方4月初めのニュースに、「韓国メディアが『日本に進出した韓国ガールズグループの多くは、韓国内での清純派路線を一変させ、扇情的なダンスを人々に披露する』と非難した」というのがありましたが、これは無理のない話で、Kポップはもともと激しく外向きなのです。その売り上げは国内1に対して日本が9と言われています。だとしたら一歩日本に足を踏み入れた瞬間から、日本のニーズに応えるしかありません。清純派はAKBですでに飽和状態なのです。
 AKBが海外でセクシー路線をとるなど考えられないことです。今、わざわざ危険を冒して海外に打って出る意味は(少なくとも秋元氏にとっては)何もありません。

 「日本の産業は激しく内向きだ」という言い方があります。国内市場に頼りすぎて海外展開を忘れている。だから技術はガラパゴス化して海外企業に後れを取る。例えばウォークマンはIpodに取って代わられ、ケータイはGalaxyとiPhoneに席巻される・・・。

 しかし国内にこれだけ大きな市場を持っていれば、これを無視して世界展開などしようがありません。最初から海外展開を目指して商品開発をすれば、そこで一発当てて巨大企業にという夢も描けます。しかしそれは危ういことで、例えばAppleやサムソンはお化けみたいな巨大企業に成長しまたが、ともに携帯端末への依存が高すぎて一つ間違えば総倒れになりかねません(事実、中国製の安い端末が、じわじわと下から食い込んできています)。その点、いつまでも国内市場に片足を置いて依存し続ける日本企業の方が安全です。

 スマホに換えてそろそろ一年。電池の消耗や使い勝手、端末の大きさや自分自身の用途を考えると、むしろガラケーの方がよかったなと今は思っています。魅力的な端末が出てきたら(これがほとんど出ないのですが)、元に戻していいと感じています。なにしろそもそもが日本人向けにできているのですから。