カイト・カフェ

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「どうしてだろう」~福島第一原発の事故の様子がわからない

 福島原発事故の帰結は、今後の日本と世界のあり方に根本的な影響を与える、そう思ってかなり熱心にニュースを追ってきたのですが、さすがに4週間となると疲れてきました。さっぱりいい話が聞こえてこないということもありますが、情報が小出しだったり基本的な疑問に答えてくれることがないからでもあります。

 たとえば、最近になってようやく「問題の解決は少なく見積もっても月単位だ」という話になりましたが、当初は考えうる最悪が何で、向かうべき目標がどこなのかも分からず、明日にも破滅が訪れるような、明日には劇的にすべてがうまく行くような幻想にただハラハラ・イライラしながら振り回されていたからです。

 12日に1号機で大爆発があって、ああこれでもう終わりだと思ったらそれは建屋の水素爆発で原子炉本体は無傷だとか、しかしベント(弁開放による排気)で排出された水素が建屋の中に溜まってしまうというのはどういうことなのだろうと思っていたら、燃料の入っていない4号機が爆発して、そのときになって初めて、建屋内に使用済み燃料棒プールがあってそれが干上がっている可能性があるという話が聞こえてくる。
 そんなのプロなら最初からわかっていることだろうと私は思うのですが、1号機はともかく、3号機も4号機もメチャクチャになって初めて2号機の天井に穴を開けて水素を逃がすというのはどうにも解せません。
 実際のところ、どうなのでしょう。

 自衛隊が決死の覚悟で原子炉建屋上空をヘリで飛んで被害状況を撮影してきました。せっかく撮ったVTRもいまひとつ鮮明ではありません。
 しかしなぜ人間が行かなければならないのか。農業用のラジコンヘリにハイビジョンカメラを積んでブンブン飛ばせれば、いくらでも鮮明な映像が撮れるのにと思ったのは私だけではないでしょう(ちなみに、あとで自衛隊自体がラジコンヘリを持っていることを知りました。迷彩色のヘリです。なぜあれを使わなかったのか)。

 アメリカが災害用ロボットを提供するといってその映像が出てきましたが、なんとも可愛いもので私は首を傾げてしまいました。ロボット技術は日本の方が圧倒的に上のはずです。優秀な災害用ロボットはかなりあります。それもなぜ使わないのか。

 それにどうせ終息に数ヶ月以上かかるなら、今から発注したってかなりの量のロボットが用意できるはずです。多機能ロボットは無理でも単機能のものをたくさん作るのは簡単です。例えばいずれ建屋の上部の崩れた部分を片付けなければならないのですから、今から自走する高さ30メートルくらいの櫓を作り、その上部にリモコンのロボットアームとクレーンをすえつければ立派な片付けロボットです。これだけなら製作に一ヶ月もかからないでしょう。

 さらに、高濃度排水を溜めるために清水市のメガフロートを曳航してくるのに、淡路島や三重県にあるものは距離が遠いからやめたというのが分かりません。もしかしたら今後必要になるかもしれないのだから今から用意しておけばいいのにと思うのですがなぜしないのか。

 これだけの危機なのですから、金に糸目をつけずにやるのが危機管理かと思うのですが、どうも専門家のやることは分かりません。

 もっとも、以上のことはおそらく東京電力保安院の説明不足なのです。あるいは慧眼の記者諸君が質問して、すでに答えられていることが報道されていないだけなのかもしれません。
 いずれにしろこのイライラはとうぶん続きそうです。
*日本国内にはこんなロボットもあるみたいですが・・・

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原子力防災ロボット

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情報遠隔収集ロボット