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「池田小事件のこと」~学ぶべきこと

 昨日は池田小学校のような事件を想定しての避難訓練が果たして必要なのか、というお話をしましたが、それとは別に、この事件から学んでおくべきことがあるのは事実です。

 さて、池田小の事件では大きな三つの点が指摘されました。

 第一は、池田小職員が侵入途中の犯人とすれ違ったにもかかわらず、保護者か何かと思い、挨拶をしただけで通り過ぎてしまったこと。(結局その先生のクラスが最初に襲われ、5名の死者が出た)

 第二に、二番目に襲われた教室の学級担任が、児童を避難させるための適切な処置をとらず、学校全体に通報することもしないまま事務室の電話から110番をかけたため、事件が学校全体に共有されなかったこと。また、そのため救急車要請の電話も遅れた(結局、警察が手配した)。

 第三に、事件直後の状況把握が甘く、副校長を始め指示を出すべき人々が最後の現場教室を唯一の犯行現場と勘違いしたために、他のクラスで倒れている児童の救出が遅れたこと(一部の児童は現場に20分に渡って放置された)。

 第一の点については、現在のところこれを完全に防ぐ術はありません。大都会の一等地でないかぎり、学校を完全な封鎖系にすることは不可能です。周囲を塀とフェンスの囲いきるには膨大な予算が必要です。また校内にはたくさんの業者・保護者が出入りしますから、そのすべてを把握することはできません。
 来校者に記録簿をつけてもらったり名札をかけてもらったりといった現在の対応と、明らかな不審者を外に押し出す仕組みをつくっておくことがせいぜいでしょう。

 第二の点についても対応の難しいところです。ただし、いったん警察や消防署に電話をかけると、話が1分や2分ではすまないということは、知識として知っていると便利です。「住所は」と聞かれてすぐに答えられる職員は少ないでしょう。建物の目印はと聞かれてとっさに思いつかない場合もあります。そうこうしているうちに5分や10分はすぐに過ぎてしまいます(ただし、電話をかけ終わらないとパトカーや救急車は動かないというわけではありません。警察の場合、電話を受けた係官は話をしながらメモを続けますが、そのメモと電話内容をモニターしながら近くのパトカーに次々と指示を出す別の係官がいるようです)。

 私は、通報は携帯電話から行う方がいいと思っています。なぜなら移動しながら刻々と状況を説明することができるからです。以前、学校から100mほどのところで生徒がはねられる事故があったとき、私を初めとする駆けつけた職員全員が携帯を持ち忘れたことがあり、そのときは校内との連絡にさえ事欠きました。携帯をもって移動する癖はつけておきたいと思います。

 第三の点は問題です。
 事実確認というのは最も重要な案件です。池田小の場合、ある教室では出血のひどい子を抱きながら、担任が「なぜ誰も来ないのだ」と怒りながら泣きじゃくっていました。しかし「そこも現場」であることを誰も知らなかったし、知られていないことにその担任も気づかなかったのです。

 事件があったとき、職員全員が事件そのものに関わる必要はありません。事件の中核から外れたところに何か遺漏はないか、そういった点に頭の回る人プがいます。私は頭が固くそういうタイプではありませんので、だれかがその役を担ってくれるとありがたいですね。