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「台風、無事通り過ぎました」~台風の名前と左巻きの理由

 一昨年の「カトリーナ」のお陰で、ハリケーンに名前のついていることは、子どもたちも知るところとなりました。ハリケーンは、かつてはすべて女性の名でしたが、これは「気まぐれで荒れ狂う」といった偏見(本当に偏見か?)が生み出した習慣でしょう。しかしそれではいけないということで、1979年からはABC順にあらかじめ決められた男女交互の名前が、順々につけられるようになりました。

 日本の場合、第2次大戦後の占領期にキティ台風、カスリーン台風といった女性名がつけられたのを除くと、基本的にその年の生まれた順番で台風○号と呼ばれ、大きな被害を残した場合のみ「伊勢湾台風」だの「室戸台風」などといった特別の名で呼ばれます。日本の場合、それでおしまいです。
 しかし実は、2000年の国際的な取り決めにより、各台風には固有の名前があるのです。

 今回の9号は全部で140ある名簿の37番目、ミクロネシアの花の名「フィートウ」が当てられており、アジアのほとんどの国ではこの名で呼ばれています。その名簿には、日本からは「テンビン」「ヤギ」「ウサギ」「カジキ」「カンムリ」「クジラ」(いずれも星座名)などが登録されています。

 台風はかつて「ヤマジ」呼ばれ巨大な台風は「大ヤマジ」と言われました。四つの災害「地震・雷・火事・大ヤマジ」は、やがて訛って「地震・雷・火事・親父」となったと聞いています。

【台風はなぜ左巻きなのだろう?】

 台風が左巻きで、したがって通過コースの右側で風が強く(風の方向と進行方向が一致するため)、左側で弱いことは良く知られています。しかし、そもそもなぜ台風が左巻きなのかというと、案外、説明が厄介です。
 簡単にまとめてみましょう。

 まず、
 地球上には、北半球ではすべてが右に、南半球ではすべてが左にずれるという見せかけの力があります。これをコリオリの力といいます。

 たとえばこんな実験を考えてみましょう。
 大きな回転盤の中心に1人立ち、円盤のふちにもう1人が立ちます。ちょうど北極点に1人が立ち、赤道付近に一人立たせてそれを北極上空から見るような感じです。
 そして円を左巻きに回転させ(北極から見た地球の回り方)、その状態のまま、円の中心からふちにいる人に向かって、まっすぐなボールを投げます。すると何が起こるでしょう?

 ボールはまっすぐ進むのですが、進んでいる間に回転盤は動いてしまいますから、ボールは大きく右にそれたように見えます
 これがコリオリの力です。

 台風は巨大な低気圧です。
 地表付近の空気を台風の目に吸い寄せ(図1)、やがて上昇気流となって上空に逃がします。

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 ところが、その風に「コリオリの力」が働くので、すべての風は右にずれながら中心に集まってくるのです(図2)。

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 それならば台風は右巻きになりそうな気がするのですが、図2を見てください。ホラ、円の中心から見ると確かに左巻きですよね。

 私はこの答えに至るまでに、30年もかかってしまいました。しかしインターネットで質問したら一発で答えが返ってきて、本当にびっくりしました。
 この説明、6年生くらいなら理解してくれるかもしれませんね。