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「2月29日の話」~意外と知られていないこの日のウンチク

 今日は4年に一度しかやってこない特別な日。
 それすらも知らない子どもたちが大勢いるから教えてあげよう。
 4年に一度は100%確実なわけじゃない。昔は2月が12月だった。
 この日生まれはいつ齢をとるの? この日生まれの有名人は?
という話。(写真:フォトAC)

【2月29日についてお話します】

 今年は閏年(うるうどし)。したがってカレンダーにはいつもだと存在しない2月の29日(今日)があります。しかしなぜ4年に1回、2月の日数を29日としなくてはならないのか、きちんと説明できる人は多くありません。何の引っかかりもないまま2月29日をやり過ごしてしまう家庭も少なくないでしょう。皆さん、日々忙しいですから。
 
 閏年の2月29日に気づいてひとしきり話題にできるような家庭――知的で親子の会話が当たり前にできる家と、そもそも29日に気づかない家、気づいても会話の機会のない家、それぞれの育った家庭の違いによって子どもの知識も情操も変わってきます。そうした環境の格差をなくすのが学校の主要な目的ですから、2月29日の意味についても、教師は調べて子どもたちに語っておくべきでしょう。
 ポイントは、

  1. なぜ閏年があるのか。
  2. 4年に1回は恒久的なルールなのか。
  3. なぜ2月で調整するのか。そもそも平年に28日しかないのはなぜか。
  4. 2月29日が誕生日の人は、4年に1回しか齢を取らないのか。その場合、就学年齢だとか、成人とか、酒・たばこだとか、被選挙権とかはどうなるのか。そうではなく普通の人と同じように毎年年齢を取るとしたら、どの時点で齢を取るのか。

 そのあたりが義務教教育の学校(小中学校)レベルでは知っておくべき内容ということになるでしょう。

【なぜ閏年があるのか】

 それは昼と夜を365回重ねても、地球が太陽の周りを一周しないからです。地球が太陽の周りを一周するのに必要なほぼ正確な日数は365.242 189 44日。別の言い方だとおよそ365日と5時間48分45.168秒だそうです。その端数0.242 189 44日を毎年累積していくと4年目に0.968 757 76日。つまりほぼ1日になるわけで、そこで4年目を“閏年”として1年を366日にするのです。そうしないと日にちがずれて行って季節感が狂ってしまいます。
 4年ごとに1日ずれるわけですから400年で100日、800年で200日。そこまでずれると北半球なのにクリスマスが灼熱、なんてことになりかねません。そんなのいやでしょ?

【4年に1回の閏年は恒久的なルールなのか】

 しかし4年に一度とはいえ、0.968 757 76日を1日としてしまうと、今度は(1-0.968 757 76)日、つまり0.031 242 24日分、余計に足してしまったことになります、これも100年単位だと見過ごせないずれとなります。そこで100年単位の修正も行われます。そのルールを列挙すると、

  1. 西暦年が4で割り切れる年は(原則として)閏年
  2. ただし西暦年が100で割り切れる年は(原則として)平年。
  3. ただし西暦年が400で割り切れる年は必ず閏年

 このルールによってグレゴリオ暦(現在使っているカレンダー)では400年に97回の閏年がくるようになっています。
 変則的な閏年は直近で言えば西暦2000年でした。上記1のルールによれば閏年、しかし2のルールのために平年。ところが3のルールにも引っかかってやはり閏年という妙な年です。
 
 4年に一度と言えばオリンピックやアメリカ大統領選挙も同じですが、(たぶん)偶然にも閏年と一致します。ですから2月29日になったら、「ああ今年は夏のオリンピックとアメリカ大統領選挙があるんだな」と考えてほぼ間違いありません。ほぼといったのは2020東京オリンピックが2020年に開かれなかったからです。そんなこともあるのですね。

【昔は、Februaryが12月だった】

 1年12カ月のうち11カ月までは月の日数が30日か31日なのになぜ2月だけ28日または29日なのだかーー。
 今はインターネットで簡単に調べられる時代ですが、かつては本当に難しい問題で、私も最近ようやく巡り合った答えですが、それは、
古代ローマでは3月が1月、2月が12月だったから」
だそうです。何のことか分からないでしょ? 別な言い方をすると、
古代ローマでは3月が新年、2月が年末だったから」
 これはどうですか? まだ分からないーー。では
古代ローマではMarchが1月、Februaryが12月だったから。だから端数は12月であるFebruaryで調節した」
 これならわかりますよね。ただし、だったら奇数月を31日、2月を除く偶数月を30日、そして平年の2月は29日間、閏年の2月を30日間にすればそれぞれ365日と366日の条件を満たしたうえで見栄えもいい、ということになります。小の月(日数が30日以下の月)と大の月(31日の月)は同数にすればいいのに、実際は小の月が(2月を含めて)五つ、大の月が七つと、不平等になっています。
 これについては8月生まれの皇帝アウグストゥスが、自身の誕生月が30日しかない小の月であるのは好ましくないと考え、31日に調整したためという説が有力だそうです。そこから大小大小を繰り返したので結局、大の月の方が多くなったといいますが、いかがなものでしょう?

【2月29日生まれはいつ齢を取るのか】

 2月29日生まれのひとは4年に一遍しか齢を取らないのか、就学や成人はどうなっているのか――。常識的に考えれば同じ年に生まれたのに、片方は20歳、もう片方は4年に1度の誕生日だから5歳というのはいかにも変です。見かけだってできることだってほぼ同じですから、やはり同じ年齢でなくてはなりません。では本日(2月29日)生まれのひとは、どの時点でひとつ齢を重ねるのでしょう?

 これは「年齢計算ニ関スル法律」に定めがあって、
「年齢ハ出生ノ日ヨリ之ヲ起算ス(年齢を計算するときには出生日を初日に算入する)」
となっています。生まれたのが午前0時1分でも午後11時59分でも、全員、生まれた日の0時00分から0歳1日とする、という意味です。したがって齢をとるのは2月29日の前日(2月28日)の24時ちょうど、ということになり、毎年きちんと齢を重ねることができるようになります。
 ただし、そうなると微妙なのはむしろ3月1日生まれの人たちで、平年だと2月28日、閏年だと2月29日の24時にひとつ齢を取る――つまり齢を取る日が4年に一度違っている不思議な人たち、ということになるのです。

【2月29日生まれの有名人】

 調べてみるとさすがに2月29日生まれの有名人は数がすくない。考えてみれば普通でも誕生日が同じになる確率は365分の1。それが2月29日生まれとなるとさらにその4分の1、つまり1461分の1しかありません。少ないのは当然です。

 私が経歴を知っている人物に限って言えば、マキノ雅弘(映画監督1908)、兼高かおる(ジャーナリスト1928)、原田芳雄(俳優1940)、赤川次郎(作家1948)、飯島直子(俳優1968)、吉岡聖恵(歌手・いきものがかり1984)あたり。
 ほとんど知らなかったのですが昨日の芸能ニュースで大きく取り上げられていた故仲本工事の内縁の奥様、三代純歌(みだいじゅんか)さんも本日生まれだそうです。仲本さんが亡くなって1年数カ月、昨日になって裁判を起こしたのも、誕生日がらみなのかもしれません。