カイト・カフェ

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「NHKでもこんなミスをするのか?」~私たちは見ているようでまったく見ていない①

 NHK「100カメ」で時代劇「大奥」の制作の場面をみた。
 とんでもなく丁寧で配慮の行き届いたドラマ作りだった。
 国民から強制的に金を集めている以上、そうあるべきだと思う。
 しかし先週の朝ドラ「ブギウギ」、NHKは何ということをしてくれたんだ?
という話。(写真:フォトAC)

NHK「100カメ」】

 11月14日(火)のNHK「100カメ」は「大奥 美術部 美しさを追求するプロたちの情熱」の回でした。
 100カメという番組は特定の場所に100台のカメラを設置して、そこで起こるドラマを再構成、30分の番組にしようというものです。これまで産院だとかカーレースのピットとか、あるいは本格的に遠い離島の生活だとか、場所も範囲も期間もさまざまで登場人物も多彩、なかなか面白い番組です。
 ただし1台1台すべてに良い素材が写っているわけでもなく、無駄に流れる時間も少なくありません。カメラ100台分をチェックするだけでも大仕事。だから続けて放送という訳にもいかず、2018年から2021年までは不定期特番として放送。2022年4月からはレギュラー化されましたが「2カ月半放送して3カ月半休んで」を繰り返し、現在は第4期だそうです。その4期6回目が「大奥 美術部」だったわけです。

 カメラはNHKドラマ「大奥」のメイク室やかつらの装着室、衣裳部屋・本番スタジオなどに配置され、主演級の俳優からエキストラ、中にはカメラリハーサルのみのエキストラ(そんな人までいたんだ!)までいて、その人たちに化粧をし、かつらをつけさせ衣装を着させ、演技するまでの行程のあちこちを撮影するわけです。
 私がとくに驚いたのは、撮影の合間に繰り返される「直し」の徹底的なことです。かつらのほつれ毛ひとつ、衣装の襟のよじれひとつ見逃さず直します。衣裳部屋やメイク室でも、モニターを見ていて気づくことがあればすぐにスタジオに駆けつけ、髪一本、皺ひとつを直すのです。

NHKの実力と信頼】

 そこまでやらなくてもいいだろう、むしろほつれ毛や衣装の皺のある方が自然じゃないか、という見方もあると思います。しかしテレビドラマや劇場映画はカットを重ねて後で編集をするのです。つまり撮影はひと続きで行っているわけではないのに、見るときはひと続きなので、注意を怠ると“主人公の首筋に、いま見えていたほつれ毛が、振り返ったら直っていた”では困るのです。必要なら同じほつれ毛を、同じほつれ具合で作り直すしかありません。しかしそれではいかにもめんどうです。最初からすべてをきちんとしている方がやり易いのです。

 私はこういくことに関してはNHKをかなり信じています。とにかく民放に比べると金もあり人もいますから時間を生み出せます。時間があるとやはりミスはとことん減らせるのです。企業だって工場だって、研究の場だって学校だって、結局、金で何とかなる部分は多いですよね?
 
 いまやドラマ作りに当てられる十分な金のあるのはやはりNHK。もはや民放に金のかかる連続時代劇を制作する余裕は、ほとんどなくなってしまいました。劇場映画でも時代劇がつくられることは多くありません。残るはNHKだけです。
 もしNHKの時代劇がこの先細るとしたら、長いこと考証を重ねて少しずつ確定してきた江戸時代や戦国時代の所作や言葉遣い、それらが忘れられてしまうのです。それはこの国のたいへんな損失です。
 受信料はしっかり払いますのでどうかNHKは視聴率など気にせず、大河を始め時代劇の歴史を失わないよう、これからもお励みいただければと思います。私は今年「どうする家康」がさっぱり面白くなくて苛立たしく、途中で見るのをやめてしまいましたが、来年は必ず見ます。とても楽しみにしています。何だったかは覚えていませんが。

【しかしこれがNHKか?】

 さて、それだけNHKを誉め、信頼を語り、義理を果たして、それから腐します。
 NHKの番組は細部まできちんと手が入っているのが当たり前。それなのに次の写真は何です? なんでこんなつまらないミスを犯すのでしょう? 誰かひとりくらい気づいて止めてくれる人はいなかったのでしょうか?
 それとも実はどっきり番組か? 間違い探し番組か?  
 問題は先週の木曜日のNHK朝の連続ドラマ「ブギ・ウギ」の一場面、主人公のスズ子が短時間の逃亡から下宿に戻ってきて、自らの行く末を憂う場面。
 さて間違い探しです。
 この画面のどこに問題があるのでしょう?
 (この稿、続く)