10月はテレビの番組編成替えの月
新たなドラマが次々と登場している
そこにはしかし よく似た一群の人々が――
難しい人たちだが 日本人は彼らが好きなのかもしれない
という話。
【秋の番組編成替え】
10月はテレビ番組の編成替えで、一方で新番組が始まると同時に反対側で番組潰しの特番だらけで、面白いやら面倒くさいやら、いろいろ厄介な月となっています。
特にドラマは各局出来不出来が激しく、面白い番組を見逃したり、つまらない番組に数回突き合わされたりとホゾを噛むことが少なくありません。
しかし私には二つの有効な装置があって、おかげでほとんどの場合、面白いドラマを外したことはないのです。すごいでしょ?
ひとつは新しいドラマを自動的に録画してくれるビデオレコーダー。今や常識かもしれませんが、私が気を使わなくてもいつの間にか録画してくれています。その番組が気に入らなければ設定を解除すればいいだけで、放っておけばそのまま。これで録画忘れは防げます。
もう一つは妻です。
妻には“仕事をしながらドラマを見ることができる”というスゴ技があって、文章を考えながらドラマの筋を追うといったことができるらしいのです。私はこれを「バックグランド・ドラマ」と呼んでいますが、他人の言葉が入ってきても思考の邪魔にならないみたいです。
おかげで新番組が始まって2~3週間たったところで、「今シーズンの面白いドラマは?」と聞けばたいていは適切に答えてくれます。もちろん趣味が合わなくてつまらないものにつき合わされたり、逆にあとで評判になるような番組を(妻が好きじゃなかったという理由で)見逃すことがあったりしますが、その程度は我慢できる範囲でしょう。
さて、今期そうして選ばれたドラマは、今のところ以下の9本です。
「同期のサクラ」日本テレビ 水曜 22:00 - 23:00
「まだ結婚できない男」フジテレビ 火曜日21:00~21:54
「ミス・ジコチョー~天才・天ノ教授の調査ファイル~」NHK 金曜日 22:00~22.49
「少年寅次郎」NHK 土曜日21:00~21:49
「G線上のあなたと私」TBS 火曜 22:00~22:57
「ドクターX~外科医・大門未知子~」テレビ朝日 木曜 21:00~21:54
「チート~詐欺師の皆さん、ご注意ください~」日本テレビ 木曜 23:59~24:54
「俺の話は長い」日本テレビ 土曜 22:00~22:54
「リカ」フジテレビ 土曜日 23:40~24:35
しかし私には二つの有効な装置があって、おかげでほとんどの場合、面白いドラマを外したことはないのです。すごいでしょ?
ひとつは新しいドラマを自動的に録画してくれるビデオレコーダー。今や常識かもしれませんが、私が気を使わなくてもいつの間にか録画してくれています。その番組が気に入らなければ設定を解除すればいいだけで、放っておけばそのまま。これで録画忘れは防げます。
もう一つは妻です。
妻には“仕事をしながらドラマを見ることができる”というスゴ技があって、文章を考えながらドラマの筋を追うといったことができるらしいのです。私はこれを「バックグランド・ドラマ」と呼んでいますが、他人の言葉が入ってきても思考の邪魔にならないみたいです。
おかげで新番組が始まって2~3週間たったところで、「今シーズンの面白いドラマは?」と聞けばたいていは適切に答えてくれます。もちろん趣味が合わなくてつまらないものにつき合わされたり、逆にあとで評判になるような番組を(妻が好きじゃなかったという理由で)見逃すことがあったりしますが、その程度は我慢できる範囲でしょう。
さて、今期そうして選ばれたドラマは、今のところ以下の9本です。
「同期のサクラ」日本テレビ 水曜 22:00 - 23:00
「まだ結婚できない男」フジテレビ 火曜日21:00~21:54
「ミス・ジコチョー~天才・天ノ教授の調査ファイル~」NHK 金曜日 22:00~22.49
「少年寅次郎」NHK 土曜日21:00~21:49
「G線上のあなたと私」TBS 火曜 22:00~22:57
「ドクターX~外科医・大門未知子~」テレビ朝日 木曜 21:00~21:54
「チート~詐欺師の皆さん、ご注意ください~」日本テレビ 木曜 23:59~24:54
「俺の話は長い」日本テレビ 土曜 22:00~22:54
「リカ」フジテレビ 土曜日 23:40~24:35
【共通する主人公たちの性格】
私はそんなにはたくさん見切れないので最初の4本だけにしようと思うのですが、ふと考えたらこの4本には明らかな共通点があったのです。いずれの主人公も、他人の思惑に左右されず、思ったことをすぐ口にし、周囲に混乱を巻き起こす人たちです。
特に高畑充希が演じる「同期のサクラ」の主人公は明らかに他人の気持ちが読めません。場の空気も読めない、しゃくし定規にものを考え、自己の正義を突き通す。その点で私の良く知った人たちに似ています。
「まだ結婚できない男」の阿部寛も同じで、他人を傷つけるような皮肉な言葉をガンガンつぶやくし、「ミス・ジコチョー」の松雪泰子は「事故を二度と繰り返さないために」という正義のためなら他人が嫌な思いをしようが迷惑であろうが一向に気にかけません。
「少年寅次郎」はまだ子どもですが、私たちは大人になった「寅ちゃん」がどんな人間か、よく知っています。
「ガマの油売り」や「バナナの叩き売り」のような口上が得意で反復行動が大好き。自分が怒られているにも関わらず「それを言っちゃあお仕舞いだよ、オイちゃん」と逆ギレし、偉そうに説教を垂れたりする。しばしば女性の気持ちを読み誤って失敗する。家族を振り回す。他人には他人の正しさがあるということが理解できず、自分の正義を振り回す――。
フーテンの寅さんはまさにそういう人です。
また、人間関係がわからない、社長も課長も部下も同じ、仕事と趣味の区別がつかないという点では「釣りバカ日誌」の浜ちゃんにも似たところがあります。
思うに、日本人はこうした人たちが大好きなのです。
寅さんや浜ちゃんが永遠のヒーローであるように、「同期のサクラ」のサクラや「まだ結婚できない男」の桑野信介は繰り返しドラマの主人公として現れてきます。
特に高畑充希が演じる「同期のサクラ」の主人公は明らかに他人の気持ちが読めません。場の空気も読めない、しゃくし定規にものを考え、自己の正義を突き通す。その点で私の良く知った人たちに似ています。
「まだ結婚できない男」の阿部寛も同じで、他人を傷つけるような皮肉な言葉をガンガンつぶやくし、「ミス・ジコチョー」の松雪泰子は「事故を二度と繰り返さないために」という正義のためなら他人が嫌な思いをしようが迷惑であろうが一向に気にかけません。
「少年寅次郎」はまだ子どもですが、私たちは大人になった「寅ちゃん」がどんな人間か、よく知っています。
「ガマの油売り」や「バナナの叩き売り」のような口上が得意で反復行動が大好き。自分が怒られているにも関わらず「それを言っちゃあお仕舞いだよ、オイちゃん」と逆ギレし、偉そうに説教を垂れたりする。しばしば女性の気持ちを読み誤って失敗する。家族を振り回す。他人には他人の正しさがあるということが理解できず、自分の正義を振り回す――。
フーテンの寅さんはまさにそういう人です。
また、人間関係がわからない、社長も課長も部下も同じ、仕事と趣味の区別がつかないという点では「釣りバカ日誌」の浜ちゃんにも似たところがあります。
思うに、日本人はこうした人たちが大好きなのです。
寅さんや浜ちゃんが永遠のヒーローであるように、「同期のサクラ」のサクラや「まだ結婚できない男」の桑野信介は繰り返しドラマの主人公として現れてきます。
【支える人々】
先ほど挙げたドラマや映画には、もうひとつ共通点があります。それは主人公を支える人々が周辺にいくらでもいるということです。
サクラのそばには同期の仲間がいて、ファックスの向こうにはいつも支持してくれる「じいちゃん」がいます。
「まだ結婚できない男」桑野信介には会社の部下と最近懇意になった女性弁護士がいます。「ミス・ジコチョー」には助手たちが、寅さんには妹夫婦や柴又の住民が、浜ちゃんにはスーさんやミチコたんがいるといった具合です。
その人たちはみんな少しずつ迷惑に思いながも、主人公のことが大好きなのです。
正直を言うと私は昔から寅さんも浜ちゃんも苦手でした。それが自分の教える児童生徒や部下だったらいくらでも対応しますが、家族や友人だったらかなわないなとしばしば感じるからです。しかしそんな私でも、そばにそうした人がいたらきっと何とかしようとすると思います。
ハンス・アスペルガー博士は自分の発見した子どもたちが興味のある事柄について非常に詳細に語る能力を持っていることから、「小さな教授たち」と呼んで愛したと言われています。
テレビドラマや映画でこれだけ繰り返し扱われるということは、もしかしたら日本人は彼らの中に別の何かを発見しているのかもしれません。
サクラのそばには同期の仲間がいて、ファックスの向こうにはいつも支持してくれる「じいちゃん」がいます。
「まだ結婚できない男」桑野信介には会社の部下と最近懇意になった女性弁護士がいます。「ミス・ジコチョー」には助手たちが、寅さんには妹夫婦や柴又の住民が、浜ちゃんにはスーさんやミチコたんがいるといった具合です。
その人たちはみんな少しずつ迷惑に思いながも、主人公のことが大好きなのです。
正直を言うと私は昔から寅さんも浜ちゃんも苦手でした。それが自分の教える児童生徒や部下だったらいくらでも対応しますが、家族や友人だったらかなわないなとしばしば感じるからです。しかしそんな私でも、そばにそうした人がいたらきっと何とかしようとすると思います。
ハンス・アスペルガー博士は自分の発見した子どもたちが興味のある事柄について非常に詳細に語る能力を持っていることから、「小さな教授たち」と呼んで愛したと言われています。
テレビドラマや映画でこれだけ繰り返し扱われるということは、もしかしたら日本人は彼らの中に別の何かを発見しているのかもしれません。