「政府には、私を気持ち良くする義務がある」~政治家とマスコミが国民を甘やかせ、公僕が国を必死に支える 

 衆議院選を前に各政党はこぞってバラマキを約束し、
 どんなにばらまいてもまだ足りないとマスコミが煽る。
 国民は何もしなくていい、全部政府がやります――。
 そして官公庁も学校職場もブラック化する。

という話。

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(写真:フォトAC)
 
 

【政治家は印籠の代わりに他人の財布を振りかざす】

 月刊文藝春秋:2021年11月号 (発売日10月08日)に『財務次官、モノ申す「このままでは国家財政は破綻する」』が発表され、衆議院議員選挙の公約に冷や水が浴びせられましたが、矢野財務事務次官文芸春秋社の目論見はみごと的中して、国民は各党の景気の良い話に、眉に唾をつけて耳を傾けています。かくいう私もそうです。

 新型コロナ禍の経済対策でとんでもないおカネをばらまいたあとで、「全国民に一律10万円をもう一度給付します」とか「消費税を5%に引き下げます」といわれてもウカウカ乗って行けないのは当然です。ましてや「消費税廃止、ひとり20万円の給付」などと言われたら恐れて飛び退くべきです
 
 コロナ対策では「抗体カクテル療法の自宅投与」なんて、そんなもの気楽にやれるものではないでしょう。1回31万円もするのですよ。しかも保険適用といった話ではなく、高齢者のような1割負担ですらない全額公費です。

 外交・安全保障では「日米安保条約破棄・軍縮に向かう」などと公言する公党がありますが、怪獣を前にスペシウム光線に封印してしまったウルトラマンに何ができるか――。はなはだ不安です。

 さすがに財源について何も言わないのはマズイと思ったらしい某党の責任者は「財源は国債です!!」と叫んで周囲を唖然とさせたりしています()が、そりゃあ国債でいいならどんな公約でも可能です。
 政治家は国民をバカだと思っているのでしょうか?
*確かにそれでいいとする経済理論が流行っているみたいですが、まだ多数派とは言えません。
 
 

【マスコミは優しく国民の意欲を削り取る】

 今週初めから大都市を中心に、夜の繁華街に対する規制が緩められ、時短要請も解除されました。これについて日曜の夜のニュース番組で、取材を受けた居酒屋の店主はこんなふうに言っていました。
「時短要請が解除されて酒の提供ができるのはうれしいが、遠のいた客足がどれくらい戻ってくるか、それを考えると不安だ。時短要請中は協力金のおかげでゆるい経営をしていたから、ここは引き締めて、初めて開店したころの気持ちに戻って頑張ろうと思います」
 
 これまでの生活を「ゆるい」と表現し、ここで気合を入れ直そうという店主の態度は非常に立派だと思いました。以前、別の居酒屋の店主が、客がまったく来ない状況を話した後で、
「でも、店がつぶれないってのは、ホントに、お国と東京都には感謝しているよ」
と語った話をしましたが()、それと同じです。

kite-cafe.hatenablog.com

 
 この人たちにとって、協力金や補助金をもらって生活することはまったく本意ではないのです。本来は「金は自分で稼ぐもの。大儲けできれば自分の才覚、失敗したら自分の不覚」、そう思っている人たちです。ただしコロナ禍だけは自分一人の力でどうにも対処しきれず、政府の手を借りた、けれど本意ではない、そういう気概に溢れた人たちなのです。
 私はこういう自立的な人たちが好きです。

 ところが番組の方はマイクがスタジオに戻ってくると、コメンテーターによってこんなふうにまとめられてしまうのです。
「時短要請が必要でなくなったからと言って、いきなり協力金をやめてしまうというのはいかがなものでしょう。まだまだ大変で、苦しいお店もたくさんあるのですから、政府も何らかの対策を考えていくべきでしょう」
 コラ!と叱りたくなるような話です。これ以上補助金を出し続けるとして、その金はオマエが出すんか!?
 
 

【政府には、私を気持ち良くする義務がある】

 日本国民である限り、政府はどこまでも果てしなく面倒を見るべきだ――そんなふうに考える人はそれほど多くないと思います。しかし政治家みずからが甘い話の旗を振り、マスメディアが煽る、そんな中で個人が自立的であり続けることは、相当に困難なことなのかもしれません。

「ほんとうに困ったら市役所に相談に行ってごらん、そこに答えがあるかもしれないし、そこで答えのある場所を教えてもらえるかもしれない」
――これは子どもに伝えておくべき大切な智恵です。しかし「本当に困ったら」の塩梅はかなり厄介です。我慢しすぎる人もいれば安易に泣きつく人もいる、そこに答えがないと怒り出す人もいる。しかし役所がすべてを肩代わりするできないことも自明です。

 教員の仕事が爆発的に増え続けているのも、同じ流れで、
 アナタの子は、学校が良い子に育てる、
 アナタの子の問題は学校が解決する、
 アナタの子の学力は学校が保障する、
――と政治家が約束し、マスコミが支えています。

 もちろんそんなふうに考えない保護者の方が圧倒的に多いのですが、影響を完全に免れるのも難しいことでしょう。

(参考)