カイト・カフェ

毎朝、苦みのあるコーヒーを・・・

「新型コロナ:子どもはペストのネズミ、マラリアのハマダラカかもしれない」

 学校を休校にすることにどれほどの意味があるのか、
 ――そう考える人たちがいる。
 しかし新型コロナでは子どもは極めて危険かもしれない。
 学童保育は特に危険だが、
 何とか工夫してやっていくしかないだろう。

という話。

f:id:kite-cafe:20200305075448j:plain(「きょとんとするねずみ」フォトACより)

【当たったが意味のない予言】

 先生方、何が起こるか分かりません。急いで準備を始めましょう。
(中略)
“子どもたちが明後日から4月まで登校できない”くらいの非常時まで想定して、個人の持ち物も少しずつ持ち帰らせましょう。

と書いたのは一昨日(木曜日)のことでした。それが翌日、つまり昨日28日(金曜日)、全国規模で同時にはじまるとは夢にも思いませんでした。みごと予言的中なのですが、“前日の的中”なんてさっぱり意味がないこともよくわかりました。

 急な発表のために戸惑う人も少なかったのですが、中には科学的根拠もないのに全国一斉の休校とはいかがなものかといった意見もあって、それも医師の中から出てきたことにはびっくりしました。
 学校を閉じれば感染症の広がりが押さえられるということに科学的根拠がないなんて、考えてもみなかったからです。


【やはり学校を閉じれば感染症は広がらないと思う】

 実際に、インフルエンザやノロウイルスなどでは、

  1. ほとんどの場合、家庭に最初に持ち込むのは子どもだし、
  2. 学校内で発症者の多いクラスを学級閉鎖にすると、他のクラスには広がりにくい(気がする)し、
  3. 学校に来てしばらく様子を見てもらえばわかると思うが、休み時間の子どもたちなんて年がら年中じゃれ合っていて、顔は近づける、つばは飛ばす、マスクなんていつの間にかなくしてしまうし、つけていてもいい加減。走りすぎてゼイゼイ・ゲホゲホ、激しく咳き込んでもすぐに立ち直ってまた走り出す。

――感染を抑えるという意味ではこんな危険な存在はありません。

 大人だって満員電車に乗るし会社にも行くと言いますが、こちらはまったく抑制が効いています。
 満員電車の中で大声でしゃべっている人なんてめったにいないでしょ? 激しく咳き込むような人は、(いないわけではありませんが)今の時期、よほどの無神経でなければ電車に乗り続けることはできません。
 日本の社会は握手やハグの習慣もありませんから、企業活動を続けても濃厚接触の機会は欧米よりは少ないですし、時期が時期ですから会議の回数や時間もぐんと減らされるはずです。取引相手に迷惑はかけられませんから、特に今は社内の衛生環境に気を遣ってくれるでしょう。
 しかし子どもはそんなことを考えません。先生たちがいくら苦労したって、せっかく作った防御壁をどんどん壊してしまうのが子どもです。

 

 【子どもはペストのネズミ、マラリアのハマダラカかもしれない】

“新型コロナの場合、子どもは重症化しないからそこまで神経質になる必要はないだろう”という意見もあります。実際に世界で3000人近くも死んでいるというのに、本来は弱いはずの子どもの死亡例は1件も報告されていません。それどころか“子どもの感染者が出た”というだけでニュースになる有様です。しかし子どもだけ避けて通るウイルスなんてあるのでしょうか?

 “重症化しない”というのは“発症しにくい”というのと同じで、中国でもたくさんの子どもが感染しているが発症しないから検査されない、検査されないから数字として上がってこない、そういうことではないのでしょうか?

 そうだとすると大変なことです。
 ウイルスや病原菌を持ちながら自らは発症せず感染させるだけということになれば、それはペストのネズミ、マラリアのハマダラカ、デング熱ネッタイシマカヒトスジシマカと同じということだからです。

 そうだとしたら休校にしなくても学校にはほとんど影響ない。子どもたちは誰も発熱せず咳もせず、元気に日常を送る。しかし毎日新型コロナウイルスを家庭に運搬し続ける。
 今回の全国一斉休校は安倍総理も「子どもの命を守る!」とか言っていますが、実際の目論見は社会全体を守ることにあるように思うのです。


学童保育も保育園も、規模の大きなものはいざとなったら閉める】

 “学校は休みにするが保育園や学童保育には引き続き子どもを受け入れるように望む”という政府の方針を聞いた瞬間、私は心から震えあがりました。退職後、学童保育の現場で2年ほど勤めた経験があったからです。
 大規模な児童館で、学校の教室ほどの部屋2室に同程度の体育室を併設し、そこで280名もの児童を預かっていたのです。大雑把な見積もりで300平米に280人、一人当たり平均で1㎡ほどしかありません。
 どちらを向いても濃厚接触

 これが夏ならば半数は屋外に出せますが、今の時期だと大半は部屋の中です。 そこで8時間。いったん新型コロナが入れば、たった一日で全員に感染させることも簡単です。インフルエンザやノロウイルスなら「感染または感染が疑われるお子さんの入館はご遠慮ください」と言えるのですが、新型コロナは症状が出ない場合がある、特に子どもは。
 そうなると学童保育は陸上のダイヤモンド・プリンセスです。

【それでも何とかしていくしかない】

 これに関してある県の知事が、“学校施設を使ってできるだけ分散して預かる”というアイデアを出していました。これはいい考えだと思います。
 自治体によって異なりますが、学童保育が預かるのは1年生から2年生、あるいは4年生まででしかも全員が来るわけではありませんから学童保育の子どもをバラバラにして、1教室10人以下程度で管理すればなとかなるかもしれません。
 ただし近隣で感染者が出たら、すぐにも閉じるべきでしょう。

 あるいはもっと現実的に、社会の最低の機能を守るために特定の職業のお子さんだけを預かるという方法も考えられます。
 具体的に言えば医師・看護師・消防士・警察官・介護士。これらは命に直結する仕事ですから最優先で職場に行ってもらいます。保育園や学童保育を開けたままにするなら当然、保育士や学童保育職員、さらに考えて行けば虐待問題等から手の離せない児童相談所職員など、いくつか追加される職業も出てくるでしょう。
 きわめて不公平だと感じる人もいるかもしれませんが、社会と命を守るためには仕方ないと言えます。
 とりあえず一カ月、みんなで耐えていくしかないでしょう。