日曜日の朝7時からフジテレビで放送している「ボクらの時代」、妻が好きでよく見ています。ちょうど朝食と重なることもあって、私も(例によって)見るともなく見ているのですが、昨日の放送は前半が蜷川幸雄・小栗旬・綾野剛、後半が前田武彦・小沢昭一・大橋巨泉という今年亡くなった芸能界の巨星を中心とした再放送(追悼番組でした)。
その広範の方で、テレビが堕落したという話の最中に大橋巨泉が「日本の政治が本当に良くないというのは、つまりは国民のレベル、民度が低いからであって・・・」というような言い方をして私は思わず箸を止めました。
私はこの国とこの国の国民を、生身の人間の生きる世界としては世界最高水準、歴史的にも頂点に近いところにいる存在だと信じていますから、「日本の〜はダメだ」という話を聞くと本能的に戦闘モードに入るようになっているのです。
確かにその放送分が撮影された2010年5月は民主党鳩山政権の再末期(翌6月2日に「国民が聞く耳を持たなくなった」という有名な談話を残して辞職表明)ですから「日本の政治が良くない」のは事実だったかもしれません。しかしだからと言って国民のレベルを云々されてもかないません。たとえ鳩山政権を生み出したのが私たち選挙民だったとしてもです。
こんなときは最も有効な方法を使って反撃しておく必要があります。
こう言えばいいのです。
「日本の政治がだめでそれが国民のレベルを反映したものであるとして、では国民のレベルが高く優れた政治を送っている国はあるのか、それはどこか?日本と日本人が目指すべき手本はどこにあるのか」
ということです。
ここでいきなりブータンなどと言われても困ります。国民の97%が「自分は幸福だ」と答えるまさに“幸福の国”ですが、経済規模も人口も違いすぎます。極度に工業化された1億2600万人をブータン的な政府がコントロールできるはずもないからです。
ここはどうしてもG20あたりから探してもらわなくてはなりませんが、ほんとうにそんな国はあるのでしょうか。
とりあえずオバマ政権はダメだということになっていますからアメリカは除外しましょう。EU離脱でブレまくっているイギリスも除外です。
ドイツ・フランス――常にEUの中心にいた両国は可能性がありますから保留にします。
PIGS(ポルトガル・イタリア・ギリシャ・スペイン)はもちろん除外、EUは総じてドイツ・フランス以外は見るべきがありません。
大統領不在でオリンピックを開かなければならなかったブラジルはもちろん除外。インドネシア・アルゼンチンなどニュースも十分にありませんから手本にするのは難しいところです。
南アフリカ共和国やサウジアラビアまで話を進めると、そもそも大統領制なのか議院内閣制なのかもよくわかりません。インドやメキシコは今、どうなっているのでしょう?
――と、そんなふうに見ていくとやがて、確かに有能で力強く、国民からも人気・支持のある強力な政治家によって指導される国が複数存在することに気づきます。
外交的にもまったくブレず、決断は速く、諸外国の圧力にも決して怯みません。その発言は明瞭で、口にしたことは必ず実現させます。
――言うまでもなくロシアのプーチンと中国の習近平です。経済規模や人口ではずっと小さくなりますが北朝鮮の金正恩も似たような政治家と言えるでしょう。
そして優れた政治家を生み出す国民こそ民度が高いとしたら、ロシア・中国・北朝鮮こそ私たちが目指す国家・国民、社会ということになります。
(確かに、これらに比べると日本やアメリカの政治はほんとうにオタオタしただらしないものだという気がしてきます。ものごとがすんなり決まることもありません)
以上、いつも通りの堪え性のない、しょうもない話です。しかしあながち無茶苦茶な話とも言えないでしょう。
日本の〇〇はダメだというとき(例えば教育、例えば若者)、その対極に何が想定されているか考えるとその先にあるものは、決して私たちが望むことのないもの、絶対に手に入れてはいけないもの、ということは往々にしてあることです。