カイト・カフェ

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「官邸は何を指示したのか、小林麻央さんの病状とメディアのこと」~土日に考えたこと①

 ちょっと触れておきたいニュースがいくつかあって、放っておくと次々忘れてしまいそうなので短くコメントを書いて次に進みます。

【官邸は何を指示したか】

 5年前の東日本大震災の際、官邸から東京電力に「『炉心溶融』という言葉を絶対に出さないようにという指示が出ていた」件について――。
 菅直人元総理大臣も枝野元官房長官も厳しく否定していますがインタビュー映像で東電社員が副社長にメモを渡しながら、「官邸からこれとこれの言葉は絶対使わないようにという指示が出ています」と耳打ちしている場面が残っていますから、その時点で社長以下東電の社員たちがそう信じたのは間違いなさそうです。
 では菅・枝野両氏はウソをついているのか――私はそうではないと思っています。
 指示は出さなかったが、
「バカヤロー!『炉心溶融』なんて言葉が使えるか!そんなもの使ったら国民がパニックに陥って国際的にも非難が一斉に集まるだろう! ふざけんな!!」
くらいのことは言って、それでビビった東電関係者が官邸外に指示を出した。
「官邸は『炉心溶融』という言葉の使用を許さない――」

 当時、官邸では同じことが繰り返されていました。
 東電関係者が福島第一で原子炉に海水の注入を始めたと報告すると、「誰が許可を出したんだ!」と怒鳴る。
 そこで慌てた東電関係者は本店を通して『直ちに注水を止めよ』と指示を出す(このときは吉田所長が独断で注水を続けたために助かった)。

 当面不必要な人員を福島第一から退避させるという情報を“全員退避”と勘違いした菅首相が本店に乗り込んで怒鳴り散らし、一時間近く機能を止めてしまう。
 そもそもの初めから、いきなり福島第一にヘリで駆け付け所長以下所員の一部を張り付けてしまう。

 東電の社員たちにはとんでもない事故を起こしてしまったという自覚がありましたから、怒鳴られてほんとうに怖かったでしょうね。何を言い出すか何をやりだすのか分からない権力者の近くで、震えながらその一挙手一投足を見つめ、言葉のニュアンスその他含むところをすべて読み取ろうと神経をとがらせ、震えていたに違いありません。

「『炉心溶融』という言葉を使うな」という話はそうした中から出てきた言葉で、菅氏には指示した自覚がない、しかし怒鳴られた側は当然やらなければならない。そうした状況を考えれば「オレは怒鳴っただけで指示を与えたわけではない」というのは、「法的には問題はない」と言い続けた舛添氏と同じく無責任です。

イラ菅」と呼ばれるほど年中イライラして怒鳴り散らす権力者の下では口に出したすべてが『指示』になってしまう――そうした危険に菅さんも枝野さんも気づかなかったはずはないのです。
(私は鳩山政権と菅政権に深い恨みを持っていますので、言い方がきつくなります

小林麻央さんの病状とメディアのこと】

 先週の金曜日に、

  という記事が配信されました。これで5回目の自粛要請だと言います。

 深刻な病気をした人はほとんどがそうでしょうが、普通の人は自分の病気について必死に調べます。20年近く以前の私も書籍を何冊も買い込み、週刊誌の見出しにも気を遣って必要なものは必死に買い求めたりしました。そうして片っぱし目を通すのですが、当時の私には手に入らないものが二つありました。ひとつはど素人の無責任な発言で、もうひとつは“私の病状”に関する記述です。ところが現在はネットを通じて前者が洪水のようにあふれ出し、著名人だと後者も湯水のように流れ出てきます。

 海老蔵さんはLINEやメールで麻央さんとやり取りしていると言っていました。つまりスマホかケータイを病室に持ち込んでいるわけです。そして手元にある以上、自分や自分の病気について調べずにおくのは困難です。
 麻央さんの場合は名前を検索窓に入れるだけで有象無象の“私の病状”が出てきてしまいます。もちろんど素人の発言は無視できるでしょう。しかし大手メディアの発言だと疎かにできません。普段だって「私の知らない私のこと」が出ていたりするのですから。
 そう思って調べると、ほんとうに心無い記事が存在する。

 海老蔵&麻央 本誌カメラが撮っていた「本当の病状」
 先週金曜日のある写真週刊誌の見出しです。もう見出しだけでもウンザリしますが中を見ると本当にやりきれなくなます。
 先の記事で海老蔵さんが、
「マスコミの方々から公になり、マスコミの方々により更に行動が狭められる事は私は一向に構いませんが、今のまおには酷でございます」
とおっしゃるのも無理がありません。

 ネット上にはさまざまな憶測が飛び交っていますが素人の憶測を言うのと、新聞・雑誌などが憶測記事を書くのとでは重さが違うのです。
 私はその記事を書いた記者と編集者に天罰が下ればいいと思っています。