カイト・カフェ

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「記憶力の問題」~繰り返し学習と先行学習くらいしかやることがない

 高校生の頃から「オレは記憶力は抜群なのだが、どうも再生力が乏しいらしい」という冗談をウリにしていたのですが、あるとき、それが冗談ではないことを知りました。「思い出す」という行為が、そのことを証明しているのです。何かをきっかけに「思い出せる」以上、事象は確実に頭の中に残っていたのであって、それが出てこないのはまさに「再生力」に問題があるからに他なりません。

 一般に、人間が短期的に記憶できる情報量は7±2だと言われています。具体的に言えば電話帳を見て番号を覚え、その番号を思い出しながらボタンを押せるのは電話番号が9桁までの場合だけです。そう言われてみると、局番が2桁(総計6桁)の場合はかなり簡単にクリアできるのに、市外局番まで含めて10桁となると非常に苦しくなります。それでも何とかなるのは、市外局番の最初は必ず0なので実際に覚えるのはあとの9桁だけでいいとか、市外局番そのものが暗記できているとかいった特別の事情によります。携帯電話も最初の番号が090か080のふたつに限定されているので何とか復唱できますが、これがすべてばらばらだったら大変なことでしょう。

 しかし一度覚えてかけたはずの番号も、電話をかけ終わるころにはすっかり忘れてしまっています。それが脳の短期記憶装置の性質だからです。ですから必要な事象はいつか長期記憶装置に移されなければなりませんが、ここに厄介な問題があります。それは記憶の移し替えがうまく行かない人がいる、ということです。九九が覚えられない、漢字が覚えられない、というのがそれです。

 どうしたら覚えられるか、古来さまざまな方法が編み出されましたが、今日までほぼ確実と思われ定評があるのは「繰り返し学習」と「先行学習」だけです。果てしなく九九の練習をするか、九九を完全にマスターする前に二桁×一桁の計算練習に取り掛かって、その中で九九を覚えるといったやり方です。
(紙面がないので、この項はこれで終わります。まだ残っている問題が「再生力」の問題ですが、いつか改めて考えてみることにしましょう)