カイト・カフェ

毎朝、苦みのあるコーヒーを・・・

「がんばろう!」~世間は日本の教員のすごさを全く分かっていないが

 十数年に及ぶ平成不況の中で、相次ぐ減税(収入減)財政支出の増大(支出増)のため、日本はすっかり借金大国になってしまいました。そうした体質を治すためには、支出の削減とともに増税がどうしても求められますが、そこに生まれるのが「まず公務員が体質を正せ」という意見です。
 本当にきちんと働いているのか、われわれの血税を不正に得ていないかという声は、恵まれない人々の不満を含んで日増しに大きくなるばかり。公務員給与の削減・休息時間の廃止は、そうした流れの中にあります。

 そうした不満は当然学校にも向けられます。子ども相手の気楽な仕事、夏休みも冬休みもたっぷりの恵まれた環境にいながら、教育成果はちっとも上げてくれない、あれをなんとかしろというわけです。
 確かに、理に合わないリストラの犠牲になった人などが、公務員の恵まれた身分保障などに怒りをもつのは、分からないではありません。しかし私たちの上司は、あまりにも説明不十分です。
「こういう状況だからお前たちも耐えてくれ、こうした政策の中でいつかきっと景気を回復し、お前たちが失ったものを回復してやるから今は我慢してくれ」
 そんな言い方でもしてくれれば何とか支えられるのですが、マスコミと一緒になって「不正を正します」では意欲を失いかけます。私が心配するのは、その点です。
 

 現在私たちが持っているのは
『世界でもっとも勉強せず(「国際数学・理科教育動向調査の2003年調査=TIMSS2003」 参加46か国中最低の1時間)』
『世界でもっともテレビを見る(同1位の2.7時間)』
日本の中学生に、
『世界第5位(数学)第6位(理科)の学力をつける』
ことのできるとんでもなくすばらしい教育システムです。これより上位の国々は、シンガポール・台湾・韓国など、名うての受験中心主義国、学力は学校外の学習塾でつけられています。
 さらにこのシステム、世界最高水準に安上がりです(文部科学省「教育指標の国際比較」17年度版 対GNP比較で35か国中最低の教育予算)
 こうした成果の一翼は、確実に日本の優秀な教員の献身的な努力が担っています。私はそれを可能にする日本の教職員の意欲が失われることを心配しているのです。
 欧米の多くの国々、特にアメリカなどでは初等中等教育は二流の人間がやる仕事と相場が決まっています(だから教員評価や学校評議員が必要になります)。政府はこうした教員のモチベーションの危機にどういう考えを持っているのでしょう?

 だが、けれど、がんばろう、みんな! 当てにならないけどきっといい時代が来ます。そして何より、私たちの仕事は何年たっても、やりがいのある価値ある仕事なのですから。