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「『魔の月』をどう乗り越えるか」~11月になりました

 11月が始まる。学校では「魔の月」と言われる11月。
 さてどうしたものか? 烏合の衆を目的集団にできるのか、
 11月をどう乗り切るのか、
 11月をどう過ごすのか――。
という話。(写真:フォトAC)

【魔の月】

 11月になりました。学校では「魔の11月」と称される月です。
 「魔」と称される月はいくつもあって、新学期の緊張が解けて子どもたちのナマの姿が見えてくる「魔の5月」、その《ナマの子どもたち》が教室の秩序を破壊し始める「魔の6月」、夏休みに崩れた生活が立て直せないところへ休み中に手に入れた人間関係や文化が学校に持ち込まれる「魔の9月」。そして主だった学校行事がひと段落し、子どもたちを走らせてきた目の前のニンジンがなくなる「魔の11月」、そのあたりが有名なところです。
 
 私は初任で「魔の6月」の凄まじい洗礼を受け、経験を積んでからは不登校指導の現場で「魔の11月」に苦しめられました。学級経営上の「魔の~」は経験によって何とかなるのですが、やれ旅行行事だ部活の大会だ、文化祭だ、音楽会だと、校内にある何かしら楽しい資源を取り上げては引っ張ってきた生徒に、10月以降、見せる“楽しいもの”がまったくないのです。毎日学校に来ている子ですら気勢が上がらないのですから、不登校の子など意気が上がるはずがありません。
 10月はそれまでこちらを向いていた子どもたちの意識がバラバラになっていく月で、その結果が翌月に出る。だから「魔の11月」という言い方になるのです。

 ところでいま、私は敢えて間違った書き方をしました。それは私自身が学級担任をしている間じゅう勘違いしていたことで、それを今になって知ったか振るのは不実だと感じたからです。
 それは「目の前のニンジン」とか「何かしら楽しい資源を取り上げて引っ張ってきた」とかいった、「何か楽しいことをチラつかせて辛いことを我慢させてきた」といった表現です。私はずいぶん遅くなって気づいたのですが、儀式的行事だとか文化的行事といった学校行事は「鼻先のニンジン」などではなく(確かにそういう子もいますが)、もっと能動的で前向きなものです。
 多くの場合、それは子どもたちの目標・目的で、学級はそれに向けて組織し直されます。

【「魔の11月」を乗り越えるヒント】

 同年齢で近くに住んでいるという、たったそれだけの理由で集められ活動させられる組織って、学級以外にありませんよね? 
 草野球のチームなら「ともに汗を流し、試合には勝とう」といったあたりが目的・目標でしょうし、芸能人のファンクラブなら「ともに応援しよう」といった共通の意識があります。企業だって「上場をめざそう」とか「新しいプロジェクトを成功させよう」とかいった目標を常に掲げ、そのために協力しあって進めていきます。ところが学級という集団は、組織された段階では何の目的・目標もないのです。
 
 もちろん「人格の完成をめざし、平和的な国家及び社会の形成者として、真理と正義を愛し、個人の価値を尊び、勤労と責任を重んじ、自主的精神に充ちた心身ともに健康な国民」(教育基本法第一条)になるために学校に来ているわけですが、本気でそんなものを目指して学校へ来ている子どもなど、クラスに一人もいません。多くは学校へ友だちに会いに来て、友達と遊んで帰るのです、それだけ。それが学級経営の困難を生み出します。

 「行事」には、そうした学校の集団にメリハリを与える働きがあります。行事が行われるたびに計画が出され、児童生徒のひとりひとりに役割と責任が与えられて、それをきちんと果たせば、誉めてもらえるのです。活動を通して子どもたちには成長することが期待され、実際にやってみれば達成感も自己効力感もあり、承認欲求も満たされます。だから子どもたちも夢中になり、その他のことに心奪われないのです。

 だとしたら10月以降にも「行事」を置けばいい――それが今日の結論のひとつです。実際にこの時期、市町村の文化祭に合わせて総合的な学習の発表会を行うなど、多くの学年行事やら学級行事やらを企画する先生もいます。あるいは、年間を通じてずっと目的集団であるようなクラスづくりを目指す先生もおられます。「互いを高め合うクラス」みたいな目標を掲げ、常にそこに向けて努力し合うクラスにしてしまうのです。
 いずれも私のしなかったこと、できなかったことですから、これ以上、偉そうに言うのはやめましょう。

【11月になりました】

 11月はグレゴリオ暦で第11番目の月です。日数は30日。秋から冬に向かう月です。
 日本では旧暦11月を霜月と呼び、現在では新暦11月の別名としても用います。もちろん霜が降る月という意味です。
 英語の月名 November は「9番目の月」の意味。古代ローマ暦では(いまは三番目になった)Marchが第一の月でしたから、そこから数えて9番目という意味です。
 
 今日は、学校で大きな行事のなくなる「魔の11月」というところから話を始めましたが、日本全体でも、これといった祭りも行事もないのが11月です。今月と違って、行事の目白押しの来月・再来月を待ちましょう。
11月1日-自衛隊記念日
11月1日-万聖祭。いまは「諸聖人の日」というのが普通みたいです。
11月3日-文化の日(日本)
11月15日-七五三(日本)
11月23日-勤労感謝の日(日本)
11月第3木曜日-(今年は19日)-ボジョレー・ヌーヴォー解禁
11月第4木曜日-(今年は26日)感謝祭(アメリカ合衆国

 今月に行われるスポーツイベントとしては、
11月3日-全日本剣道選手権大会(日本武道館
11月4日-Jリーグカップ決勝(サッカー)
11月5日―全日本大学駅伝(愛知県、三重県
11月12日~-大相撲九州場所(福岡国際センター)
11月12日-福岡マラソン(福岡市・糸島市
11月14日-明治神宮野球大会明治神宮球場)
11月26日-全日本実業団対抗女子駅伝競走大会宮城県
などがあります。

 星座は蠍座から射手座へ。
 誕生石はトパーズだそうです。

 こういうことを子どもたちに話すだけでも、何か違ってくるのかもしれません。