「中教審は教員の仕事製造マシーンか」~今日は中央教育審議会の誕生日

 6月6日は中央教育審議会の誕生日。
 日ごろ忙しさに取り紛れて気にすることもないが、
 ときどき様子を見にいかないと、とんでもないことになりかねない。
 もしかしたら今まさに、必要のない改革が進められているかもしれないからだ。

という話。


(写真:フォトAC)

中教審の誕生日】 

 今日、6月6日は中央教育審議会(以下、中教審と略す)の誕生日です。
 1952年(昭和27年)の6月6日、文部省設置法の一部が改正され、中央教育審議会が「文部大臣の諮問に応じて教育に関する基本的な重要施策について調査審議し、及びこれらの事項に関して文部大臣に建議する」機関として設置されました。以来70年です。
 
 教育に関する諮問機関としては他に教育改革国民会議とか教育再生会議とか、あるいは教育改革実行会議とかも聞いたことがあるかと思いますが、それらは総理大臣直属の私的機関で、中教審ほどの歴史と重みがあるわけではありません。

 もっとも中教審は重みのあるぶん動きも遅く、すぐに調査だの研究だのと言い出しますので、ひとつの結論を出すのに数年かかってしまうこともざらです。そこで短気な首相は自らの諮問機関をつくってさっさと結論を出してもらい、一気に解決を図ろうとするのです。代表的なのが第一次安倍政権の「教育再生会議」、第二次安倍内閣の「教育再生実行会議」です。

 話を中教審に戻しますが、私は現職の時代、少なくとも学級担任をしている間に、この組織に一切興味を持たなかったことをとても後悔しています。日々仕事が忙しくて手が回らなかったというのが本音ですが、そのために制度変更に対してはいつも後追い後追いで、自分たちがどんどん追いつめられていることに気づかなかったのです。
 今日の殺人的過剰労働の責任は、一部、私たちにあります。


中教審の構造】

 中教審の組織は、Wikipediaによると、
 課題の性質別に分科会、さらにその下に部会・委員会がおかれ、それぞれについて別途委員が選任されている。現在は、「教育制度分科会」、「生涯学習分科会」、「初等中等教育分科会」、「大学分科会」の4つの分科会と、総計約70の部会・委員会がおかれている。また、どの分科会にも属さない、「教育振興基本計画部会」、「地方文化財行政に関する特別部会」の2つの部会がある。
のだそうです。

 委員は29名で任期は2年。今の委員は2年目で、名簿は下にあります。
令和3年3月9日発令 第11期中央教育審議会委員

 注目すべきは現職の教員が一人もいないことです。校長先生(教職員ではあるが教員ではない)が3人いますが、他は各界の名士ばかり。現場の生の声が拾われる可能性は多くはありません。もっとも29人の委員が4つに分かれて参加する「分科会」には「臨時委員」と呼ばれる人々がいて、そこには少数ながら現場教師が参加することもあるので、まったくダメというわけでもなさそうです。

 中教審は諮問機関ですので、文科大臣の諮問に対して調査検討し、最終的に「答申」の形で答えるという形を取ります。会議資料は毎回官僚が用意するらしく、簡潔で見やすいものがかなりの数、出されてきます。
 ちなみに、資料は文科省のサイトで見られますから、いちど議事録を覗いてみるといいでしょう。かなり面白いものがあります


中教審は教員の仕事製造マシーンか】

 ざっと仕組みが理解できたところで改めて俯瞰すると、中教審が大枠で文科省のコントロール下にあることが分かります。「諮問」は議論の方向を最初から絞りますし、「資料」は行くべき方角に人々を誘導するからです。 したがって会議が開かれた段階で答申内容はほぼ決まっており、名士たちの発言は権威を持たせ内容を補強するだけのもの、といった感じになります。

 ところがこうしたやり方で文科省は日本の教育を牛耳っているかというと、それもまた違うように思うでのす。

 中教審は必要に迫られて設置されるのではなく、2年に一度ずつメンバーを変えて必ず開かれるものです。これだけの名士を集めて遊ばせておくわけにもいきませんから、文科省は何らかの諮問を出さざるを得ません。出せば自動的に新しい教育方針、新しい教育が生み出されてくる――つまり現実の教育に必要か不必要かに関わりなく、新しい施策は次々と増え続けるというわけです。学校に要求されるものに悪いものはないので、増やすのは簡単です。
 しかも過去の委員の功績やメンツに対する遠慮もありますから、以前つくられたものが撤回されることもない――。

 さまざまな新しい教育施策が座布団のように上へ上へと重ねられていき、座布タワーがユラユラ揺れて倒れそうになっても、さらに上に載せられようとする――そんなふうなのかもしれません。

 以上は私の勝手な想像で、実際はどうか分かりません。しかし中教審で話し合われていることは近未来の日本の姿です。ときどき気にして、資料探しのつもりでもいいからサイトを覗いてみるといいでしょう。

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