木曜日の夜、たまたまNHKの「ニュース9」で大学生の就職状況に関する話題に耳を傾けていたところ、そこに緊急地震速報が入って放送内容が一変しました。こうしたとき放送内容の切り替えについてNHKが圧倒的に早いことはよく知られています。民放の場合、それがCMの最中だと最後まで流してから地震報道に切り替える――そんなふうに疑っています。
しかし14日(木)、いち早く切り替わったNHKの現地中継はほんとうにひどかった。
熊本市内の飲食店が並ぶ市街地からの中継は、カメラを振り回すだけでアナウンスもたどたどしく、被害の状況がさっぱりわかりません。せめてもうひとりが先へ先へと走り、被害状況を把握してからカメラを呼べばよかったのにと思うのですが、カメラマン自身がファインダー越しに対象を探しているようでは話になりません。
そしてしばらくたって始まった益城町役場前からの中継はさらにひどく、庁舎前で指示する行政関係者の声が大きく響き、その後ろで何やらボソボソ言う声が聞こえるかと思ったらそれが現場中継です。東京のアナウンサーが盛んに呼びかけるのにそれも聞かず、ただひたすらボソボソ言っている。
そうかと思うと突然なんの用意もない避難者にマイクを向け、「どのような揺れだったでしょうか」と無意味な質問。被災者が何とか答えいよいよ本格的な質問、かと思ったらさっさと切り上げ次の場所へ・・・。
私は頑固な保守主義者・民族主義者であって、政党は自民、野球は巨人、テレビはNHKと決めているような人間ですが、その私ですらチャンネルを替えざるをえないほどです。民放でないと事態がわからない・・・。
その民放。日曜日の朝、数ある報道番組のひとつを見ていると、南阿蘇村の奥の地区へ向かおうとしていたテレビクルーが寸断された道路の手前で立ち尽くしている様子が映されていました。そこへひとりの青年が徒歩でこちらに向かってくる。マイクを差し出すと、
「この先の阿蘇大橋が崩落していて前へ進めない。引き返そうとしたら4車線あるうちの2車線が崩れてバックもできなくなった、だから歩いて戻ろうとしている」
そう言って立ち去ります。
それからいくらもしないうちに左手の山の中から細道を下ってくる若者の集団がいて、聞くと被災した友人を心配して徒歩でアパートへ向かう東海大生でした。それをクルーはただ見送る・・・。
ちょっと待て、と私は思います。その道はさっき青年が通れないと言った道ではないか。それとも私が目を離した隙に場所が変わったのか。場所が違うにしてもテレビマンたちはその道が通行可能か確認しなかったのか。東海大生と一緒に徒歩で向かおうという気もないのか・・・。
案の定、学生たちは長い道のりを、また歩いて戻ってきます。
「やはり通れませんか〜?」
とテレビクルー。
(オイ、喧嘩、売ロウ ト イウノカ?)
わざわざ無駄足を踏ませる、これこそ真の意味での「やらせ」ではないかと思ったりもしました。
テレビマンたちは良い映像のためには何でもします。
今回の熊本地震は意外な展開を続け、今日も11万人が避難所で生活をしています。
これまで大地震といえば最初に最大の揺れがあって以後余震が繰り返されるか、ほとんど感じられないような前震が長く続いてから大地震になるかといったぐあいでしたが、今回は土曜日未明の本震も含めて、震度4を超える地震が5日間に渡って続いています。
最初の地震に耐えた建物も次第に弱ってきますし、公共の建物も細部でひびが入ったり崩れてきたりしています。以前のような地震なら避難しないで済むような環境の人たちも、避難せざるを得なくなって避難所があふれかえっているのだそうです。そして圧倒的に水も食料も足りない。
おにぎりひとつを手に入れるために2時間も並んだという話を聞き、校庭に描かれた「みずをください」という文字を見たりすると涙が出そうです。
食料や水が足りないのは物資自体が不足しているのではなく、被災地まで運ぶ交通網があちこちで寸断されていることや人手不足であるためだと言います。しかしそれはそこまで難しい問題なのでしょうか?
日本国内にはモノがあふれています。各地方自治体にある防災備蓄で使用期限が迫っていつでも放出できるものだけでも相当な量になるでしょう。そうでなくても物資を供出しようという人や企業はいくらでもあるし、各地のボランティアも手ぐすねを引いて待機しています。
まず思ったのは、なぜ米軍のオスプレイを使わないのか、ということです。オスプレイなら10トン近い物資を直接運ぶことができます。しかも岩国基地や横田基地など震災の影響の一切ないところから一気に持っていけるのです。
人手不足の方は陸路が無理なので、自衛隊の大型輸送船かなにかを使い、直接熊本港に接岸すればいい。当面は物流の専門家(宅配業者など)からボランティアを募り、優先的に現地に入ってもらう・・・。
私は土曜日あたりからオスプレイ、オスプレイ、自衛隊、自衛隊と呟いていましたが、マスコミの関係者でそのことを口にした人はいません。政府関係者にもいません。
私だけが賢く、彼らがバカだからではなく、分かっていても言わないのです。
今朝(18日)になってようやくオスプレイが投入されるという話が出てきました。米軍や自衛隊を動かすには被災者の5日間の苦しみが必要なのです。それだけ人が苦しむのを見ないと、米軍や自衛隊が動くことに納得しないメディアや世論があるのです。
まったくバカげている!