カイト・カフェ

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「乗ってはいけない、しかし・・・」~娘が交通事故に遭って、相手の車に乗せられそうになった

 娘が高校2年生の時に交通事故にあいました。交差点を自転車で直進しようとしたところ、併走していた車が被さるように左折してきたのです。車高の低い乗用車でしたのでタイヤに巻き込まれることはなく、体をぶつけただけでしたが、現実に起こった事故というのは、本当に対応の難しいものだと考えさせられる事件でした。その後のやり取りというのが、案外単純ではなかったからです。

 運転者はすぐに降りてきて「大丈夫?」と声をかけてくれたのですが、娘は肩や頭を打っており、しばらく返事ができなかったといいます。そして「病院にいく? 連れて行くよ」と言われて、その瞬間にある決心します。それは「この車に乗ってはいけない」ということです。「知らない人の車に乗ってはいけない」というのは、すべての子が小さなころから躾けられていることです。実際にこうした場合、車に乗せられるのは危険でしょう。

 そこで「大丈夫です。もう痛くはありません」と強硬に断ってその場から離れたのですが、学校についてから、激しい頭痛が始まったのです。養護の先生に相談するとすぐに病院を手配し、タクシーで連れて行くとともに私にも連絡がありました。

 CTスキャナーを初めいくつかの検査の結果、なにごともなく、以後も体に問題はありませんでした。それでメデタシメデタシみたいですが、さらに意外なところに問題が残ります。

 交通事故の場合、検査や治療のための費用は加害者の保険によるのであって、私の保険は使用できないのです。車に乗せられないことに必死で、相手も名前も聞かずナンバーも控えてありませんでしたから、検査費用2万7千円は全額、私の現金払いです。警察にも行きましたが、すでに大丈夫と言って分かれてしまった以上、ひき逃げ扱いにはなりませんし、相手を特定することもできないというのです。

 さて、娘の場合どうしたらよかったのでしょう。高校生ですから、「あとで何かあったらいけませんから、名前と連絡先を教えてください」、そんなふうに言えると良かったかもしれません。しかし教えられていないことはできるはずがありません。さらにそれだって高校生だから期待できることであって、小中学生だとそれもかなわないでしょう。

 事故にあって大したけがをした様子もなく、相手が救急車を呼ぼうとしてくれないとき、小中学生として何ができるか、何をしなさいと教えたらいいのか、考えておく必要があります。今の私にアイデアはありません

 昨日の交通安全教室ご苦労様でした。警察の方の話を聞きながら、このことを思い出しました。