読書週間が近づいてきました。このシーズンになると、私は決まってひとつの詩を思い出します。
それは次のようなものです。
こどもたちよ 茨田 晃夫
こどもたちよ。
私がお前たちに遺してあげられるものは、あまりにも少ない。
兄弟けんかも起こらないほどの僅かな財産と、
正直だけが取柄の血筋、何枚かの写真。
そして、書棚の古びた本と、読書を苦痛に感じない習慣…。
伝えるものはそれですべてだ。
(中略)
想像の翼を持たない者は、いつまでも夢にとどかない。
幸いお前には、インクの染みのような活字の羅列から
物語を創造できる力を持っている。
小さな頃、寝床で本を読んできかせるとお前は目を輝かせていた。
その頃の興奮を忘れないでほしい。
こどもたちよ。
私がお前たちに遺してあげられるものは、あまりにも少ない。
兄弟けんかも起こらないほどの僅かな財産と、
正直だけが取柄の血筋、何枚かの写真。
そして、書棚の古びた本と、読書を苦痛に感じない習慣…
私は、自分のふたりの子に、1歳から小学校5年生になるまでそれぞれ9年間毎晩読み聞かせをしてきましたが、いつも心の中にあったのはこの詩にあるような思いです。
そして毎年、読書週間の時期になると飽きもせず学年通信や学級だよりで保護者に呼びかけてきたものです。いったい何人の保護者が共感してくれたかは不明ですが、本当に子どもに残したいもの、残すべきものはそう多くはないはずです。教師としても同じですけど。