「もともと楽しいかどうかは成績に反映しない」~楽しく勉強すると成績は伸びるのか②

 昨日のグラフは「数学の成績が高い子は、数学が楽しいと思っていない(数学を楽しいと思っている子は成績が低い)」ということではありません。たぶんどの国でも数学の得意な子は「楽しい」と思っているに違いありません。ただし、この「優秀で数学が好きな子」たちは、集団の平均点を高めるという意味ではさほど全体に影響を与えていないのです。なんといってもエリートは少数ですし、どんなにがんばったところで100点を越えて点数を取ることはできないからです。集団の平均点が高いということは、「普通以下の子」たちががんばっているということなのです。

 50点の子が70点、80点ととれば平均点に大きく寄与します。とにかく人数が多い層ですからこの子たちががんばると平均点はぐんと上がります。また、10点、20点しか取れない子が40点、50点と取るようになれば、これも平均点に大きく寄与します。さらにこの子たちは、50点まで成績をあげてもまだこれから50点も上げるだけの余地のある頼もしい戦力です。

 しかしこの子たちは、もともと数学なんか好きでも得意でもないから成績が低かったのです。成績上位の国はどこもこの層に負荷をかけていますからどうしても「数学は楽しいとは思えない」子がさらに増えてきてしまいます。もともと好きだった子でも、成績を上げようとがんばるとどうしても「楽しい」とは言っていられないでしょう。それが「成績の高い国は、数学が楽しいと言っている子の少ない国」の意味です。

 ここまで考えてくると、勉強が楽しいかどうかはさほど意味のないことが分かってきます。それよりも子どもたちが、確実に力を蓄えていくことの方が、よほど重要だと思うのです。