カイト・カフェ

毎朝、苦みのあるコーヒーを・・・

「とにかく歯医者に行かせる」~秘法伝授むし歯をなくす③

 子どものころ、食べ物に注意しなくても、また歯みがきを全くしなくてもむし歯にもならず、肥満の心配もしなくて済んだ人々、それが私の親世代です。したがって自身に歯みがきの習慣がありませんから、子である私たちの歯みがきもいい加減でした。そして私たちの歯は悲惨な状況になりました。

 自分自身が苦しんだので、私たちの世代(正確に言えばさらに上の団塊の世代)以降ははむしろ異常なほど子どもの歯には神経質でした。現在のむし歯の平均本数と30年位前の平均を比べると、きっと信じられないような数字が並ぶはずです。

 さて、歯科診断でむし歯が発見され、保健室から勧告の通知書が出てもさっぱり医者に行かない子がいます。基本的には親の問題なのですが、「親の問題だから」と言ってほったらかしておくと生徒の歯はあっという間にボロボロになってしまいます。したがって、私たちが何とかしてあげなくてはなりません。

 そこでまず、私は自分の歯の話をします。それから「あのね、むし歯は風邪と違って方って置いたら治らないんだよ。お腹が痛かったけどしばらく静かにしてたら治ったってことはあるけど、しばらく我慢してたらむし歯が元に戻った、なんてないでしょ?」と話し、それから
治療勧告の紙をもらった生徒の名を後ろの黒板に書き並べます。その上で家に帰って歯科医に行く日を決めさせ、その期日を自分の名前の後ろに書かせる
のです。
 医者に行けば次の予約の日が決まりますから、学校へ来たら黒板を書き直します。それを続けると、ある日生徒は治療終了の証明書を持ってきて、それで黒板の名を消します。

 通常、黒板に生徒の名前を並べるのは人権問題との兼ね合いで嫌われますが、これは生徒の「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」を守るための取り組みなので書いても構わないのです(ホントかな?)。少なくとも、生徒の名を曝して反省を促すものではなく、単なる覚書ですから非難されたらそう言ってかわそうとは思っていました。

 生徒の方は歯科医に行ってもいいという気持ちがあっても、親のほうが面倒くさがって連れて行かない場合もあります。しかし黒板にわが子の名前があると知ると、たいていの親はすぐに連れて行ってくれます

 検診で発見されるむし歯なんてせいぜいがC1かC2。この段階で歯科医に行けばせいぜい2~3回の通院で終わります。時間的にもエネルギーの上でも治療費の上でも、ものすごく安上がりです。
 黒板に名前を書いて歯医者に行かせてくれる、私は保護者にとっても優しい担任なんだなあと、つくづく感心します(ちょっと皮肉)。