生徒がきちんと歯ブラシをしているかどうかの確認が難しいのは、結局、私たちが洗面所にいられないから、ということに尽きます。生徒はバラバラに歯ブラシに行きますし、私たちには仕事があります。そう考えると、彼らの方から私たちのところへ来て歯ブラシをしてもらうしかないことに気づきます。
最初が肝心ですから4月の最初の給食の時間にルールを決めます。まず机の上にランチョンマットを敷くこと、そしてコップを置き、その横に歯ブラシを並べるのです。給食当番の一人にヤカン係というのをつくり、当番は配膳のとき、一人ひとりのコップに水を入れて回ります。
さて、給食。
そして食べ終わった生徒から、その場で歯みがきをはじめます。3分間みがき終わったら、コップの水を口に含み、“クチュ、クチュ、クチュッ”とゆすいでから・・・その水をどうするか問題になりそうなところですが、答えは簡単。そのままゴックンと飲んでしまえばいいのです。
汚いなんて言ってはいけません。そんなことを言ったらパンを食べたあと牛乳を飲むなんてことはできなくなります。口の中の屑を液体で飲み込むことには変わりないのですから。
確かにマナーの上では問題があります。それが癖になってしまい、大人になってから高級レストランでつい癖が出て、恥をかくようなことにならないかと心配される方もいるかもしれません。しかし大丈夫。食事の横にコップと歯ブラシの並ぶ高級レストランはありませんから。
人権は、しばしばバッティングします。
子どもの「歯ブラシをしない自由」を認めること、あるいは「『教室の中で歯ブラシなんかできない』という表現の自由」を認めることは、その子の「健康で文化的な生活を送る権利」を奪うことにもなりかねません。
どちらを優先しましょうか?
私は迷わず後者を選びます。
それでは皆さん、迷わずに、
“クチュ、クチュ、クチュッ”、そしてゴックン!