カイト・カフェ

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「ボクを見守っていて・・・」~小説”Stand by me.”の一節

 ホラー小説の大家スティーブン・キング(「キャリー」「シャイニング」「グリーンマイル」等)には、「スタンド・バイ・ミー」という珠玉の作品があります。これは青春小説と呼びうるものですが、それぞれ心に傷を持った4人の少年たちが、好奇心から線路づたいに死体探しの旅に出るという、ひと夏の冒険を描いたものです。
 その中にこんな場面があります。物語を語る才能があるにもかかわらず親からまったく関心を持ってもらえない12歳の少年コーディに、友人のクリスが言うのです。

「ほんと、おれがおまえのおやじならよかったのにな!」
とクリスは腹立たしげに言った。
「もしおれがおまえのおやじだったら、あんな作品をいっぱい作れるなにかを与えてくれた神さまみたいに、こう言ってやるんだ。”これこそ、わたしたちがおまえに望むことだよ、息子や。その才能を失わないようにしなさい”ってね。だけど子どもってのは、誰かが見守っててやらないと、なんでも失ってしまうもんだし、 おまえの両親が無関心過ぎて見守っててやれないってのなら、たぶんおれがそうすべきなんだろうな」

「子どもというものは、誰かが見守っててやらないと何でも失ってしまうものだ。他に人がいなければ、たぶんおれが見守ってやるべきなんだろうな」
 私も指導に疲れると、しばしそんなふうに言って自分を励ますようにしてきました。

 ところで、「Stand by me」はどんなふうに訳したらよいのでしょう? 「ぼくを見守っていて」ということでしょうか?