「十」

 先日「十」という漢字の読みについて、職員室の一部で話題になりました。音訓表に示された「十」の読みは「じゅう・じっ・とお・と」です。したがって十進法は「じっしんほう」、十手は「じって」、十戒は「じっかい」、9組の次のクラスは「じっくみ」となります。

ただしこの字を「じゅっ」と読む例はたくさんありますし、子ども用の辞書ではしばしば読みとして表記されていたりします。NHKのアナウンサーのほとんどは「じっ」と発音しますが、NHKの出版する「ことばのハンドブック」では、「じゅっ」の読みを認めているそうです。

 言葉は生き物ですから時代とともに変化します。「新しい」を「あらたしい」と「正しく」読む人はいないでしょうし、私の若いころはしつこく言われた「重複(ちょうふく)」ももはや「じゅうふく」で認められています。「独壇場(どくだんじょう)」は「独擅場(どくせんじょう)」が正しく、じつは字も違う、となるとマニアックすぎて誰も相手にしてくれません。

しかし現在でも「相殺」を「そうさつ」と読んだら間違いでしょうし、「端緒」を「たんしょ」と読むのは認められません。そして「十=じゅっ」はどうかというと、これはかなり微妙なところです。

 私は個人的に、小学生には一応「じゅっ」は正しくないと教え、しかしテストなどでは扱わない(そもそも問題として出さない)ようにしたほうがいいと考えています。他にもこんな例はかなりありそうですね。