カイト・カフェ

毎朝、苦みのあるコーヒーを・・・

「わが母の躾」~小さなころの躾は、親と子の双方に利益がある

 まもなく参観日です。授業や懇談会に関する校長先生よりのお話が先週ありましたが(金曜日日報)、「学校要覧」の『学校目標』『学校目標実現に向けての考え』をもう一度熟読して、学級経営のお話の中に盛り込んでください。
 「明るい挨拶」「学年×10分の家庭学習」「家庭での生活習慣づくり」「学習ボランティア」などの点は、今から話しておくべきことかと思います。

 私は低学年の担任になったとき、指導の方針として次のような話をしたことがあります。それは和田英という人の話です。
 和田英は松代藩の家老の娘で、明治の初め、父の指示によって富岡製糸場女工としてでかけ、後に松代製糸業の礎を築いた人です。その富岡での生活を綴った「富岡日記」という本が出ていますが、巻末に「我母之躾(わが、ははのしつけ)」という一巻が附属されていて、その一節が「松を見よ」という次のような文なのです。

「子を育てるには、授乳の時期からだんだん仕込むようにしなくてはだめだ。
 まだ小さいからといって、気ままにさせておいて、さあ大きくなったからといって、急に行儀だ言葉だとやかましく言っても、直るものではない。
 あの植木を見なさい。小さい時からいつも気をつけて手を入れた木と、生えてきたまま自然にしておいた木と、どのくらい違いがあるかしれない。
 
大きくなって枝を曲げたり切り込んだりしてみても、木が傷むばかりで、とても小さな時から手を入れた木のようにはならないものだ。
 それと同じことで、はいはいをしない前から気をつけて教えていけば、ご本人は少しも難儀ともつらいとも思わずに、自然にいろいろ覚えるけれど、大きくなってしまってから急に行儀を教えると、本人は窮屈で苦しいものだから、人前ばかりで行儀をよくしても、人のいない所ですぐくずしてしまうので、とてもほんとうの躾はできない」  
                   (和田英「我母之躾」)