カイト・カフェ

毎朝、苦みのあるコーヒーを・・・

「父親が娘に伝える性教育」③

(5)家柄の良い人と一緒になりなさい

 家格だとか出自だとかではなく、「人柄」と同じ意味での「家柄」のいい人と結婚しなさい。家庭の雰囲気が良く、価値観の合う家庭で育った人と一緒になれという意味だ。
 それはひとつには、“彼”の家族は一生あるいはそれに近い長い年月を共に過ごす人だからだよね。もちろん相手のご両親がどんなに年老いても面倒は見ない、その代わりこちらがどんなに困っても援助を請わないというなら別だが、普通の付き合いをしていくとしたらあまり合わない家族とうまくやっていくのは容易ではない、最初の内は耐えられても先ゆき辛くなる。だからあまりにも合わない家族だったら、少し考えなくてはいけないかもしれない。

 けれどもっと大切なのは、家族というのは“彼が”その中で育ち、最も影響を受けた人々だということだ。親や兄弟を反面教師として育ってきたという人も少なくないが、その場合だってある種の偏向を抱え込んでいる。
 どんな人と一緒になったって、その人やその家族と最初からうまくやっていくなんてことはできないし、お互いに歩み寄るしかないけど、それでもお前の価値観にあまりにも合わないとしたら、“彼”の中に同じものがないか、一応警戒してみる必要もあるかもしれないね。

(6)どんな人生を送りたいんだ?

 昔、シーナは「私の一番の夢はお母さんになること」って言ったことがあるよね、今でもその気持ちは変わらないかい? 
 だとしたらどういう人と一緒になるのが一番いいのか、簡単に想像つくよね。お前の子どもの、良きお父さんになれるような人でなくちゃだめだ。

 危険な匂いのする人、家族を持つことが想像できない人、夢追い人、野心家、そういう人たちは全部だめだ。その中にはとてつもなく魅力的な人も多いけど、シーナが「お母さん」を目指す限り、彼らと一緒に暮らすことはお前にとっても子どもにとってもしんどいことだ。
 ただしそういう人を好きになったら、シーナの夢の方を変えてしまえばいいのだからこれも決定的な問題ではない。
 恋に迷ったとき思い出して「私はどんな人生を送りたいのか」と問い直してみれば、何かの参考にはなるかもしれない、その程度のことだ。

(7)私に似た人を選ぶと便利だよ

 さほど本気の話でもないけど、そう考えると私と似た人を選ぶのも便利だと思うよ。少なくとも欠点が私と同じなら、慣れたものだから我慢ができる。
 シーナはときどき「なんて頑固なんだ!」と私に呆れるけど、だったらたいていの頑固者とは長く付き合えるはずだ。今までやってきたのだから。
 しかし例えば、家事を一切やらない男だとか、いちいち細かく絡んでくる男なんてきっと我慢できないと思う、そういう欠点はたぶん私にはなくて慣れていないから。
 もっとも顔まで私に似ていたら、お前に気の毒だけどね。

(この稿、続く)