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「私が仕事を辞めたいくつかの理由」4――お金が必要でない

「お金が必要でない」と言えばカチンと思われる方も多いのかもしれません。しかし私はほんとうに金のかからない人間なのです。酒も飲まずタバコも吸わず、趣味も友だちもいない初老の男性というのは、たぶん多くがそうでしょうが。

 外食も三か月に一回するかしないか。タクシーはもう20年以上も使ったことがありません(1時間くらいの距離ならすぐに歩いてしまう)。旅行も昨年のイタリア旅行がほとんど初めての海外旅行で、家族旅行でさえほとんどしたことがないのです(思い出したら家族四人の宿泊旅行というのはディズニーランドに1回、USJに1回、娘の結婚前に隣の県の景勝地に行った1回の計3回だけでした)。とにかく我が家はケチなのです。

 最近は情報もネット頼みなので本もあまり買いません。時折、不意打ちのような飲み会の支出もありますが、銀行で一万円おろしたら使い切るのに三か月もかかるというのが普通の日々です。

 もちろん電気代や上下水道料などは着々と口座から引き落とされるし、なぜか妻の分まで払っている携帯電話の使用料や新聞料金・ネット接続料もあります。

 年度初めには固定資産税や自動車税、そして何といっても息子のアキュラが就活中の大学4年生ですから学費も生活費も出してやらなければなりません。けれどそうしたものはすべて予定通りで、その面でもケチケチしているのでざっと見積もると(アキュラのことを除けば)日々の生活は現在の年金でほぼ収まります。

 また、何といっても妻がフルタイムで働いていますからいざとなれば髪結いの亭主です。夫婦共稼ぎを維持するためにそこそこの無理もしてきましたし子どもたちにも寂しい想いもさせましたが、今、その恩恵を受けているのです。

 経済的になんとかなるという事情は働かない理由にはなりませんが、嫌になったときに投げ出す理由にはなります。ほんとうに堪え性がなくなり、簡単に土俵を割ってしまうのです。

 実は仲間の多くが65歳の年金満額受給を待たずに再就職先を辞めてしまいます。きっと同じような事情があるのでしょう。それでも頑張って続けている人たちは、その新しい仕事が楽しかったり辞めてしまうと他にやることのない人たちです。奥様が心配して辞めることを許さない例も少なくありません。

「私が仕事を辞めたいくつかの理由」5――他にやること、やりたいことがある

 第二の勤め先を辞めてしまった仲間の多くが始めること、それは農業です。実は私の地方の場合、家業が農家という人がけっこう多いのです。これには歴史的経緯があります。

                               (この稿、続く)