カイト・カフェ

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「女性たちは語る(男性は語らない)」~アスペルガーの家族②

 ネット上で「アスペルガー 配偶者」と検索すると相当数出てくるのが“夫の広汎性発達障害に苦労する妻”のブログです。逆の“妻の発達障害に苦労する夫”という例はありません。

 もちろんこれは広汎性発達障害が4:1もしくは4・5:1と言われるように圧倒的に男性に発現するからですが、それにしてもアスペルガーの妻がゼロということはないだろうと思いながら更に調べていくと、書籍の方に『僕の妻はエイリアン―「高機能自閉症」との不思議な結婚生活』新潮文庫)というのがあります。ところがこの本は仕掛けが込んでいて、実は高機能自閉(広汎性発達障害アスペルガーに同じ)の妻が、夫の視点で自分を描いたものなのです。どこまでいっても女性たちです。

 さて、ここまで進むとまた新たなことに気づきます。
 それは広汎性発達障害の妻たちがたくさんのブログを立ち上げているのと同じように、自身が広汎性発達障害を持つ女性たちも、実に多くのことを語っているということです。

 この世界では古典的ともいえる『自閉症だったわたしへ』『我、自閉症に生まれて』も著者は女性です(ドナ・ウィリアムズ、テンプル・グランディン )。『ずっと「普通」になりたかった』( グニラ・ガーランド)、『アスペルガー的人生』(リアン・ホリデー ウィリー)など、名の知れた著作は、みな女性です。

 日本でも『俺ルール!―自閉は急に止まれない』をはじめとしてたくさんの著書のあるニキ・リンコ、『アスペルガー症候群だっていいじゃない』の“しーた”、『アスペルガーですが、 妻で母で社長です』のアズ直子など、女性が非常に多くの著書を出しています。 もちろん男性もないわけではないのですが、女性の8〜9倍もいるはずの広汎性発達障害の男性たちは、ほとんど語っていません。

 なぜ広汎性発達障害の女性は自分たちのことを説明したがり、事実あんなにうまく説明できるのか。逆に言うとなぜ男たちは分析もしなければ語りもしないのか、これも考えてみる必要のあることかと思います。

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