自立するということ�@

 

 学校の一番大事な仕事は、子どもの自立を促すことです。

 しかし「自立」「自立」と言っても始まらないので、そこには明確な目標とプログラムがなくてはなりません。そうしないと何をどうしたらいいのか分からないからです。

「自立」には三つの側面があります。

「経済的自立」と「生活自立」、そして「精神的自立」です。

「経済的自立」というのは分かりやすい概念で、自分に必要な収入を自分の力で得るということですから、まだまだ先のことでけっこうです。

「生活自立」とは、簡単に言えば生活していく上で役立つ技能を手に入れるということ。1歳半のトイレット・トレーニングから始まって、食事を自分で食べられること、着替えができること、学齢期になれば一人で学校の用意ができること、宿題などを自ら進んでやり終えることなどをいいます。

 大人になってからは、たとえば自分でアパートを探し契約できること、市役所での住民登録など公的なことでさほど困難を感じやり通すことができること、食事や洗濯など身の回りのことがきちんとできること、学校や会社、地域の人々とのトラブルにも適切に対応できること、そういったたことが挙げられます。早ければ18歳ごろ、遅くとも20代前半までには終えておきたいことです。

 しかしある意味、これはさほど難しいことではありません。「生活自立」の大半は『言葉で教え、辛抱強く待つ』という姿勢だけで達成できるものです。年齢相応の目標を持たせればそれで事足ります。

「自立」=Independenceというと、一匹狼的に、誰にも頼らずにものごとを成し遂げることのように思われがちです。しかし日本の場合は多少様相が異なります。なんといっても共同体的色彩の強い国ですから、他人の力をうまく引き出し、適切に依存することができないと、生活はかなり苦しくなります。

 したがってとりあえず、「困ったら人に訊く」ことのできる子に育てておくことが必要になります。小さなころから、お店屋さんでほしいものが見つからないときなど、親が聞くのではなく子どもに聞かせに行かせるような訓練もたくさん積んでおかなくてはなりません。

 しかしそれでも精神的に自立した子を育てることに比べたらずっと楽です。

 精神的自立については月曜日にお話します。