カイト・カフェ

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「悪いのはどっちだ!」~子どもに対して、責任はきっちり突きつける

 「自立」には三つの側面があって、それぞれ「生活自立」「経済的自立」「精神的自立」といいます。

 「生活自立」といいのは赤ん坊のトイレット・トレーニングに始まり、最終的には家事をきちんと行い、税金を払ったり役所の手続きをしたりといった公的な活動を曲がりなりにも行える能力を獲得することです。
「経済的自立」は分かりやすい概念ですから説明の要はないでしょう。難しいのは精神的自立です。

 これは「ある程度社会から認められた、統一的な自己の獲得」といった言い方で説明します。
 「統一的な自己」というのは、「勉強したくないが良い高校に入りたい」とか、「練習はいやだがレギュラー選手になりたい」といった分裂がないこと、だからといって「死刑になってもいいから人を殺したい」といった統一性では困るので「ある程度社会から認められた」をつけておきます。もちろん完全に社会に認められ、どっぷりとつかる必要もありません。

 「精神的自立」には非常に分かりやすい指標があって、それは「他人のせいにしない。特に親のせいにしない」というものです(これは覚えておくととても便利です)。何か物事がうまくいかないとき、いちいち親のせいにしているようでは、精神的自立のかけらもないことになります。

 これが非常に重要だと思うのは、校内で起こるさまざまなトラブルをみていると実に多くの「アイツのせい」が出てくるからです。「◯◯ちゃんのせいでああなった」「△△があんなことを言わなければ、こうはならなかった」「✕✕がああしたから、こうするのは当然だ」・・・。
 さて、こう考えてくると、精神的自立を促すひとつの方向が明確に見えてきます。それは本人に返すべき責任は、常に本人に返し続ける、ということです。

「悪いのはどっちだ」「人のせいにするな」
 それは私がしょっちゅう子どもに対して使ってきた言葉です。