カイト・カフェ

毎朝、苦みのあるコーヒーを・・・

「人間関係のやりくり」~思い通りになる間柄では勉強にならない

 昔、月のお小遣い8000円という小学6年生に会ったことがあります。というよりは6年生になったら、それだけもらえるようになったのです。日記には、「8000円と言っても、ここから学年費も旅行積立も出さなければならないので大変です」と書いてありました。

 尋常な額ではないので家庭訪問で話題にすると、
「もう6年生ですから、金のやりくりを学ばせようと、今月からそのようにしています」

 ほんとうに8000円で何もかもやりくりするのかと注意してみていましたら、案の定、翌月には、
「◯◯デパートのバーゲンに行ったら、プレ・ステ19800円が17800円で売っていました。これは安い! お母さんにおねだりしたら、すぐに買ってくれました」
ということになってしまいました。
 何のことはない、今まで通り欲しいものはそのつど買ってもらった上に、学校集金2000円を除く6000円が定期収入になったという、お粗末な話です。

「お金のやりくり」というのは、「足りない収入を、何とか工夫して都合をつけること」を言います。ですから最初から収入不足でないと勉強にはなりません。同じように人間関係のやりくりというのも、困難な状況でなければ学べません。仲良しグループで苦労もせず意見が一致したり、お山の大将で何でも要求の通る状況では、勉強にならないのです。
「主張して、せめぎあって、引き合って、お互いさま」といったやり取り、思いの強いひとつを通すために先ず三つ引いてみせるといった技、ゴマをすること、論を尽くして説得すること、そういったすべてのことは、うまく行かない困難な状況でしか学習できません。

 そんな難しい言い方をしないにしても、私は、子どもたちにそういうことを教えていきたいと思います。