「声を低くして・・・」

 一昨日、家に帰ると「ナニコレ珍百景」という番組をやっていて、食事をしながら見るともなく見ることになりました。私はこの番組が好きではないのですが、見ていた母に遠慮があって、そのまま見続けたのです。

 掃除機が大好きなネコ、というのが出てきました。身体全体に掃除機をかけてやると伸びをして、気持ちよさそうにうっとりしています。さらに掃除機の先端部をはずし、ネコの頭に吸い付かせて吸引力で持ち上げても嫌がらず、されるがままになっています。別室で見ていた原田泰三さんと動物学者のムツゴロウさんは、「ナニコレ」「ナニコレ」と手を叩いて大喜びでした。

 ムツゴロウさんに言わせると、基本的に小動物は掃除機の音が嫌いなのだそうです。それは掃除機の放つ低音が大型肉食動物の声に似ているからなのです。そうした低音が近づいてくると、自然に身体が固くなるのだそうです。

「でね、母親はそれで躾けをするんですよ。ミルクを飲み過ぎた子がまた近づいてくると“ウー”と低い声で脅す、すると子ネコは静かに引き下がって行くのです」

 なるほどと思いました。

 そういえば先生の中には子どもを叱るときにやたらと言葉が丁寧になり、しかも声のトーンの下がる人がいます。そういう人は怒りを伝えることの上手で、子どもはすぐにシュンとなってしまいます。私なんかまるでダメで、本気で怒ると声が上ずってしまい、もしかしたら子どもにはサル山でギャーギャー叫んでいるボスざるくらいにしか感じられていないのかもしれません。

 

 以前にも書きましたが、諸先輩の先生方から教えられて特に役立ったことのひとつは、「叱るときには怖い顔をして叱れ」です。

 特に小学校低学年以下の子たちを、論理で折伏しようとしたり情で絡め取ろうとしたりしてもムリだ。そのくらいの子どもは理屈で自分をコントロールすることも苦手なら、他人にも自分と同じような情があるという感じ方にも慣れていない。私たちが怒ったとき彼らが素直に従おうとするのは、ひとえに怖いからだ、二度とこんな目にあいたくないと思うから静かに聞いてそれに従おうとする。だから叱るときは怖い顔でなければならない。

 確かに、叱る側がヘラヘラとした状況で「オマエらナァ〜」とか言っても、とりあえず聞いてさえくれない気がします。

 怖い顔をして叱れ、そして今回もう一つ加わりました。

「低い声で叱れ」

 一部の先生方が経験の中から生み出した方法は、科学的にもきわめて妥当なものだったようです。