カイト・カフェ

毎朝、苦みのあるコーヒーを・・・

「仙人の話」~その主食、”霞(カスミ)”の食べ方

 日が短くなって、暗いうちに家を出ています。ついこの間まで、朝陽を正面に受けて運転しずらかったのがウソのようです。陽は、出勤してだいぶたってから昇り始めます。

 その太陽の上がる寸前の、東の空に広がる強い太陽光を昔は「霞(かすみ)」と呼んだようです。夕方、太陽が沈んだ後に残る輝きも同じです。仙人が食べたと言われる霞はこのことで、現在一般に言われる薄い霧のことではありません。

 どんなふうに食べるのかというと、朝晩ひとりで山に登り、霞が現れると同時に大きく手を広げ、深く息を吸い込むのです。そうしてこれ以上吸えないほどに吸って「ウ〜ム、満足、満足」と呟くと、腹は十分な霊気とともに霞で満たされているというのです。

 若いころに何かで読んだ話ですが、霞を食ったというよりは、なんだか人を食ったような話だと思ったことを覚えています。