カイト・カフェ

毎朝、苦みのあるコーヒーを・・・

「学校給食の話」①〜全国学校給食週間が始まります。

 今日(1月24日)から全国学校給食週間が始まります。
 これは曜日に関わらず毎年1月24日から30日と決められていて、
「学校給食の意義や役割について、児童生徒や教職員、保護者や地域住民の理解を深め関心を高めるため、全国で様々な行事が行われます」(文部科学省「全国学校給食週間について」)。
ということになっています。
 なぜ「曜日に関わらず毎年1月24日から30日」となっているかと言うと、これには歴史的経緯があって、少し調べたのでここに記録しておきます。

【学校給食記念日(12月24日)と全国学校給食週間】

 昭和21年12月24日、戦争のために中断していた学校給食を再開するに当たってアメリカの「ララ(LARA:Licensed Agencies for Relief in Asia《アジア救済公認団体》)」から給食用物資の寄贈を受け、東京の千代田区立永田町小学校で贈呈式が行われました。それをを記念するのが「学校給食記念日」です。

「ララ」というのはサンフランシスコの日系人がつくった「日本難民救済会」を母体とするし、戦後の日本を救援するためにつくられた組織です。その支援は昭和21年11月から27年6月まで続けられ、総重量は1万5千トン、総額は400億円(当時)にのぼったと言われています(その2割は日系人が集めた)。
 全体の割合は食糧が75.3%、衣料19.7%、医薬品0.5%、その他4.4%。乳牛や2000頭を越える山羊などもあったそうで、当時「アイスクリームにチョコレート、日本のみんなに下さった、ララのみなさんありがとう」という歌もあった記録されています。
 80歳以上の人に訊けば、いまでも「ララ物資」という言葉に記憶のある人もいるかもしれません。この物資があってようやく日本の子どもたちの命と健康は守られたのです。
(しかし、いかに民間の寄付とはいえ、ドナルド・トランプ氏が聞いたら激怒しそうな話です。「日本なんて助けるんじゃねえ! アメリカファースト!」)

 その「学校給食記念日」に重ねて、前述のような趣旨をもった「学校給食週間」を設けようとしたのですが、12月24日から一週間となるとほとんどの学校が年末年始休業にかかってしまうわけで、そこで一か月丸々移動し、1月24日からの一週間ということになりました。昭和25年のことです。以来65年余りにわたって営々と受け継がれてきたのです。

【しかし給食はおいしくなった!】

 学校給食と言うと、私以上の年代の者にとっては長い間「まずいもの」「惨めなもの」という印象がつきまとったものです。「ララ物資」はほんとうにありがたいものでしたが、それを基礎として始まった学校給食には限界があったのです。
 ペコペコに変形したアルマイトの食器に、伝説の脱脂粉乳、味というものがほとんどないコッペパン、カチカチに固いクジラの竜田揚げ・・・。
 脱脂粉乳というのは生暖かく中途半端に甘い、そして強烈な匂いのする変なミルクで、お代わりすると英雄だったりしました。クジラの竜田揚げの方はクジラと聞くだけで今や高級感が漂うかもしれませんが、とにかく固い、まずい。一部柔らかいところがあるとそこはギトギトの脂身で、嫌な味が口全体に広がったものです。

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 それが私が教員になるころには本当においしくなっていて、今や高級料理顔負けといった給食さえ出現するようになっています。

(この稿続く)