あれほど注意していたのに、
また詐欺メールに引っかかりそうになった。
もはや受信メールの9割は詐欺、固定電話も信用できない。
科学の進歩は必ずしも人を幸せにしない。
――という話。
(写真:フォトAC)
【クロネコから謎のメールが届く】

昨日の朝、起き抜けにメールチェックやらメッセージチェックをしていた妻が、
「これ、どういうことかしら」
と右のような画面を見せてくれました。
「住所不明」が意味不明なのですが、あて名が雨に濡れたか何かで読みにくくなっているということなのでしょうか? 分からないまま「From ヤマト運輸株式会社」の表示の右のマーク(赤い山が逆さになったようなやつ)をタップすると「To」と出てその先に私の本名が出ています。本名宛ということはキチンとした情報に基づいてのメールです。
安心してさらに下の「荷物を確認する」をタップすると、氏名や住所を入力するページに移動して、
――しかし待てよ、ヤマト運輸は妻のメールアドレスを知っていていながら、なぜ改めて氏名を入力させるんだ? アドレスを登録したなら、住所氏名も一緒に書いてあるはずじゃないか。
そう考えて思いとどまりました。
今や届くメールの9割はスパムです。料金が支払われていないだの賞品が当たっただのといった話はたいてい嘘ですし、宛て名が「お客様」だの「supert_dic@Yahoo.co.jp(私のメールアドレス)様」だのといったのはすべて無視して来たのですが、今回ばかりは本名だったのでひっかかりそうになりました。
どうやらYahooメールはToの後にアドレスに対応する氏名を表示してしまうようなのです。そのコンピュータもしくは携帯を持っている人だけに起こる現象です(ただし妻のアカウントに私宛のメールが表示されるのは今も謎)。
また一つ勉強になりました。
【ヤマト運輸は警告していた】
ちなみに、あとでヤマト運輸のホームページの「荷物のお問い合せ」に「送り状番号(6269-2730-4786)」を入力したら、「伝票番号誤り」になってしまいました。要するにそんな荷物はないということです。
考えてみればポストに投げ込まれる郵便物とは違うのです。住所がはっきりしない荷物など出発地の担当者が受け取るはずもなく、途中で事故があっても伝票番号から記録を探れるはずです。
さらに言えば「お届けできませんでした」と言いながら、画面上で荷物は「0時26分に到着済み」になっているのです。深夜に届く宅配便なんて聞いたことがありません。
さらにヤマト運輸のサイトを見ると、
『ヤマト運輸の名前を装った「迷惑メール」が多発しています。「なりすましサイト」への誘導に十分ご注意ください』
という注意喚起のページがあり、そこには、
お客さま各位
現在、お客さまより、「ヤマト運輸を装った迷惑メールがEメール(またはショートメール)で届く」、「荷物に関する通知が届いたが心当たりがない」というお問い合わせが多数寄せられています。
下記のようなご連絡を弊社からEメール(またはショートメール)でお送りすることはございません。
・「住所不明のため配達できない」等の住所確認を求めるお知らせ
・受け取り日時の変更や再配達のご依頼に関する請求を求めるご連絡
・ショートメールによるご不在連絡やお届け予定のお知らせ
――やれやれ、と言ったところです。
【固定電話もターゲット】
ついでですので最近、我が家の固定電話に入ってきた詐欺と思われる自動音声の通話についても紹介しておきます。それは次のような内容でした。
「こちらは総務省監視管理室です。現在お客様の利用されているこの電話、および携帯電話を含むすべての通信手段が、2時間以内にご利用停止処分となります。ご不明な点がございましたら、1番を押してお問い合わせ下さい」
「2時間以内に利用停止処分」にも驚きますが、固定電話・携帯電話ばかりでなく、すべての通信手段(PCを通して送るメール、LINEメッセージ、あるいは封書・はがき、はたまた電報まで)を遮断するとは!
総務省管理監視室はこんなド田舎の半農モウロクジジイのために、いったいどれだけ予算を割いて封じ込めようというのか、何が目的でこんな役立たずと対決しようとしているのか、ここはひとつ「1番」を押して訊いてみるしかない――そう思わせるのがミソなのかもしれません。
ちなみに「1番」を押すと生身の人間が出て、名前や住所、口座番号などを聞き出そうとしたり、「あなた名義の携帯電話が特殊詐欺に使われた。あなたに逮捕状が出ている。資産を確認するため、指定の口座に金を振り込むように」といった話になったりするみたいです。
詐欺メールや詐欺サイトといった最先端ではなく、固定電話のような古いメディアにも詐欺の手が伸びてきているようです。うんざりです。
【科学の進歩は必ずしも人を幸せにはしない】
先日、千葉に棲む義姉が遊びに来て二泊もしていってくれました。その際、寝がけに玄関のカギをかけていると、
「あら、カギは寝るときしかかけないの?」
正直に言うと、寝るときですらかけ忘れることがあります。田舎ですし、そもそも現金が置いてありません。クマは心配ですが、ドアを開けて入ってくることはないでしょう。
日本は本来そのくらい安全な国だったのです。私も70年間生きてきて、泥棒やスリに遭ったのはたった一回、それもローマの地下鉄でスリ集団に囲まれてスマホを盗られただけです。外国ではレストランでトイレに行く時もすべての荷物を持って行くというのに、日本ではトイレで落とさないよう、ポケットの財布までテーブルの上に置いて行くといわれるくらい安全な国です、いや、国でした。それが自宅にいながらに金を抜き取られるようになる。
科学の進歩は必ずしも人を幸せにはしないみたいです。