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「夏休みの小学生の、ラジオ体操に参加してみた」~令和のラジオ体操事情

 地区で行われる小学生のラジオ体操に参加してみた。
 昔と比べると期間も時間もずっと短くなっている。
 この程度ならやめても構わないのではないか――、
 そう言って中止する日は目の前かもしれない、

という話。(スタジオ・ジブリ許可画像)

【夏休みのラジオ体操に参加してみた】

 田舎ですので今でも回覧板制度があるのですが、先々週に回って来た板に「ラジオ体操のお知らせ」というのが入っていました。毎年出されている通知だと思うのですが、これまで回覧板が回ってくるのが遅かったり、回ってきても私が見落としたりしたのでしょう、久しく意識することがありませんでした。
 今年は都合よく目についたので、参加してみようかと内容を見たら、期日は今週の月曜日(28日)から今月いっぱい、つまり今日までの4日間だけなのです。小学校の夏休みは先々週から始まっているのですから、そこから始めればよさそうなものを、なんとも妙な位置に置いたものです。まず7月中の4日間と決めておいて、何とか7月中に収めようと、月末から逆算して28日~31日と決めたのでしょう。しかしやはりなんのための期日設定なのか分かりません。
 
 それでも初日の月曜、朝6時25分ごろに、はりきって集合場所の児童公園に行ってみました。すると小学生が30人ほど、付き添いを含めて大人が10人近くと、意外にもなかなかの盛況です。今の時代、参加する子もぐんと少なくなって細々とやっていると思い込んでいたので驚きました。もっともよくよく考えると、私の地域にある小学校は市内でも有数の大規模校で、地区もそこそこ広いので、参加率が低くてもその程度の盛況にはなるのかもしれません。

【今どきのラジオ体操】

 全体として雰囲気は昔と変わりありません。参加者が大人数で、中心になるお母さんがいて、子どもたちに声をかける風景も同じです。
「まだシールを貼ってもらってない子は、あとでもいいからここにきて」
 私がPTA役員をやっていた二十数年前は、シールではなくハンコでした。丸に「出」の字の小さなハンコを赤のスタンプ台に押し当てて、いちいちカードについてやったのです――と、いま「私がPTAの役員を~」と口にして思い出したのですが、この地区の小学校は昨年からPTAがなくなっているはずです。私のころはPTAの地域指導部の仕事でしたが、この4日間、面倒を見てくれたあの女性は何者だったのでしょう? 育成会あたりが怪しいのですが、聞いておけばよかったと思います(今朝が最終ですので、機会があったら聞いてみましょう)。

 6時半が近づくと、女性は、
「はい、じゃあ6年生は前に出て、みんなの前に立って――」
 そんなふうに言われててきぱき動くような小学生もいないので、何回か声をかけてようやく4人の女子が前に出ます。そのあたりで私は「あれ?」と思います。何か雰囲気が違う。

 昔だったら6時半になる前からラジオをつけていて、子どもに興味のない天気予報やら交通情報やらを流していたのです。それが体操前の“雰囲気”です。出勤前の大人にとっては参考になる情報で、やがて時間になるとラジオ体操の曲が流れ、それを聞いて最上級生がしぶしぶ前に出てくる、というのが自然な流れでした。ところが担当の女性はいつまでたってもCDラジオのスイッチを入れないのです。

 6時半を1分ほど過ぎてようやく6年生が前に揃うと、そこで初めてスイッチを入れます。それもラジオではなく、CDの再生です。ちょっと驚きました。
 わざわざ6時半に集まったのだからラジオで全国一斉の体操に参加すればいいのにと思ったのですが、CDで体操をする理由はすぐに判明します。ラジオ体操第一が終わると、女性はすぐにスイッチを切って終わりにしてしまったのです。ラジオ放送だと6:30~6:40までの10分ですが、CDで体操第一だけだと3分11秒で済みます。

「年にたった4日じゃないか、1日10分くらいきちんとやれよ」
と思うのはいかにも昭和なのでしょうね。ジブリ映画の「おもいひでぽろぽろ」ではラジオ体操が何日も何日も続き、お盆が近づくにしたがって人数が減って、ついに最後は主人公ひとりになってしまうという場面がありましたが、そういった「果てしないお節介」、別の言い方をすれば「際限ないだらしなさ」は、タイパ重視の令和にはなじまないのでしょう。4日間3分11秒だけでもやらないよりはマシということなのかもしれません。
 ”長期休業中も朝はきちんと早起きをし、身支度を整えて体操に行き、帰ったら朝食を摂って勉強は涼しい内に済ませましょう”という習慣づけは、家庭の仕事になりました。親と子の力量が試されます(できるかな?)。

【もうひとつの別の問題】

 10年ぶりくらいでラジオ体操をやってみて、改めて気づいたことがあります。それは”知っていることとできることは違う”という、ごく当たり前のことです。

 小学校の教員を10年もやって、その間に何度も式台に上って体操指導をしましたから、ラジオ体操には自信があり、うるさくもあります。
 ラジオ体操第一の最初の運動と最後の運動は同じに見えて全く違う(最初は“背伸びの運動”、最後は“深呼吸”)とか、二番目の“手足の運動”は踵の上げ下下げがポイントだとか、いろいろ言いたいことがあるのです。ところが「じゃあお前やってみろ」と言われると、今はできないことがたくさん出てきます。

 腰が曲がらない、腰が回らない、手足の運動で踵を上げるとふらつく、腰に手を当てて上体を反らすとそのまま後ろにひっくり返りそうになる――頭でわかっていることを体ができない。
 偉そうに指導したい気持ちをグッと抑えて、黙って体操をしてきました。やれやれ齢は取りたくないものです。