最近メールというものをほとんど使っていない。
もはやLINEが中心的通信手段だ。
しかしLINEどころかメールにも乗り遅れた仲間がいて、
高齢者の連絡は常に錯綜する、
という話。
(写真:フォトAC)
【え? メール使っているかって?】
先日、洗面所の蛍光灯が切れそうになったので家電量販店に買いに行きました。
『2023年11月の「水銀に関する水俣条約 第5回締結会議」において、一般照明用の蛍光ランプの製造・輸出入を2027年までに段階的に廃止することが決定された』
とかで、蛍光管が切れたのを機にLED照明に交換してもいいようなものですが、築30年の我が家の、なぜか洗面所だけが天井に引っ掛けシーリングがなく、設置には工事が必要なので先延ばしにしているのです。28ワット30型の小型円形管が2000円もしました。
会計をしようとしてポイントカードの有無を問われ、実はなくしてしまったので電話番号でつけてもらおうと思ったら、
「よろしかったらスマホアプリにしません?」
と問われます。買い物に来るたびに「ポイントカード、忘れました」というのも鬱陶しいのでさっそく飛びつきました。
自分でやるのも面倒くさいのでさっさとスマホをお姉さんに渡して、名前や暗証番号を入れる場面以外はすべて目の前でやっていただいたのですが、途中で一瞬止まって、
「メールって、使っています?」
と問われ、今度はこちらが固まります。そう言われれば使っていない――。そこで、
「ほとんど使っていません」
と答えるとあっさりしたもので、
「じゃあ、ウチの会社からもメールが行かないように設定します」
(アン? それでいいのか?)
【情報ツールの取っ散らかし】
家電量販店での話はそれだけです。長い前置きですが、自分は「メールをほとんど使っていない」という発見が新鮮だったので、記録しただけのことです。
もちろんメールのことは忘れていたわけではなく、メールチェックは携帯メール、PCメール、Webメールが三か所と計五か所もあるメールボックスを毎日行っています。しかし入ってくるのは「ブログが更新されました」といった報告メール(知っている。私が更新したのだから)や広告メール、警察や市からの情報メールといったものがほとんどで、返事を書かなくてはならないような私的・公的メールはほとんどありません。
家族や友人とのやりとりはほぼLINEのメッセージ、ごく稀にFacebookのDM。オンラインの飲み会はLINEかZoom。人間同士のやり取りですからできるだけ通話に心がけているのですが、昔に比べると電話かけること自体によほど気を遣うようになっていますし、通話嫌いの人も少なくありません。避けた方がいい相手にはやはりLINEということになります。
では基本的に友人同士はLINEでいいのかというと、そうもいかないのが私の世代。LINEもいればメール・オンリーもいる、そもそも携帯・スマホで文字を打ったこともないという人までいるのです。
【「LINEにメッセージ入れたからね」とメールする】
つい先日も4人でやっているはずのLINEグループでひとりの誕生祝をしようとお祝いメッセージを入れたところ、本人からはすぐに感謝のメッセージが来たものの、あとの二人からはメッセージが来ない。来ないどころか私の書いた文章が「既読1」のまま、4日たってもあとの二人分が開かない。
ひとりは糖尿病のために入院中の先輩で、目もよく見えない様子があってこの人が開かないのは分かる。しかし残る一人は、つい2カ月ほどまえにLINE上で飲み会をやったばかりの人です。若い時期だったら「きっと忙しくて見てもいないのだろう」で済まされますが、私の歳になると万が一のことも考えざるを得ず、急に不安になって電話をかけてみました。
生きていました。しかもすこぶる元気で――。
話を聞くと、
「メールの方は会社から連絡が入るし、溜まると困るので必ずチェックするのだけど、LINEはねえ、見なくても困らないので滅多にチェックしないんだよ」
(コラ! こっちが困ってるダロ!)
しかし日常的にLINEのチェックをしない人に習慣づけをするのは容易ではありません。そこで、
「じゃあ今度からは『LINEにメッセージ入れたからね』ってメールするから、そうしたら開いてね」
と、そこに妥協点を見出しました。むかし、
「メール送ったから見ておいてね」とか、
「ファックス送ったから確認して」
とか電話した人がいたといいますが、それと似た発想です。
【なぞのSNS「ジフシー」】
考えてみたらつい30年前には電子メールの存在すら知りませんでした。20数年前までガラケーすら持っておらず、LINEを使うようになったのも10年そこそこです。さすがに携帯を持たないという人は私の母親世代(90歳代)まで遡らないといないと思いますが。ガラケーの通話のみとかPCメールのみとかは私の世代にもそこそこいます。
私以下だとたいていはLINEですが、さらに下の世代はInstagramやTikTokのDM(ダイレクトメッセージ)が中心とか。さらに、さらに、その下のZ世代(1990年代半ばから2000年代生まれ)となるとまったく違ったSNSで対話していると言います。
そのひとつである「ジフシー」という新世代SNSでは、
- ジフシーアカウントの登録者から会話をしたい相手選び、コール。
- 相手には“電話のように”着信音が鳴る。
- 相手が応じると、自分と相手「2つのトーク枠」が表示されテキストチャットを開始。
面白いのは “文字変換する様子や1文字ずつ削除される様子も見える”ところ。
「リアルタイムならではの会話の間が生まれたり、まるで電話で話しているかのような感覚でやりとりできる」
といいます。もちろん履歴も残るので後からの見返しも可。
しかし「コールして相手を呼び出して、電話で話しているかのような感覚でやりとりできるならそのまま通話をすればいいじゃないか」と考えるのがZ世代ならぬoZi世代(オジイ世代)の感覚。若者には若者の感覚とコミュニケーションの持ち方があるらしいのです。
【明日はあなたが情報弱者】
私の世代にはメールも打たない、LINEにさえ乗り遅れた、DMの存在もしらない情報弱者が大勢います。私を含めた高齢情報弱者は未だにファックスが好きで紙の本が好きで、音楽は生演奏、映画は倍速の効かない映画館での鑑賞を好みます。絵画や彫刻などの芸術鑑賞も本物志向が強く、バーチャルな旅行では満足しません。
しかし20代~30代で情報化社会の最前線にいると信じているあなたたち、その背後からまったく異質のコミュニケーション・スキルを持った人々が迫ってきているのです。ゆめゆめ研修を怠ることなく、不思議な世界について行ってください。私はあの世への準備をしますからもう追いかけません。