Microsoftの生成AI(Copilot)は使い勝手がいい、
友人はそういうが、私にとっては大同小異、使い物にならない。
しかしやはり気になる。
使っている人がいる以上、使い方があるはずだ、
という話。(写真:フォトAC)
【AI:こんな簡単なこともできない】
友人に教えてもらったMicrosoftの生成AI「Copilot」に、
「名前に数字の含まれている都道府県名をすべて拾い上げてください」
と依頼したら妙な答えが返ってきた、という話をしました。そのときの答えがこれです。
Copilotが送信しました。
東京都
北海道
名前に数字の入っている都道府県はこのふたつだけで、他にありません。
予定していた答えは「三重県」「千葉県」「東京都」「京都府」の四つでしたから東京都は良いもの、「北海道」はまったく理解できません。それに東京都を出しておいて京都府を忘れることも、「京(けい)」に比べればはるかに簡単な「三」(三重県)を拾えないことも、これまた全く理解できません。そこでCopilotについてはさっさと忘れることにしました。
後日、それでも気になって妻に話して、
「それにしても北海道のどこが数字なんだ?」
とボヤくと、妻は、
「ああ、北海道の『道』ね、最初の二画、カタカナの『ソ』みたいなチョンチョンを外して部首の『しんにょう』を外したら漢字の『百』になるじゃない。だから選ばれたんじゃない?」
・・・ナルホド。*1
しかし文字の中に漢数字が潜んでいればいいとなれば、「青森県」なんか「青」の上半分に「三」がひとつ入っていて下半分にも「二」が入っている、いやよく見ると「青」の上半分には「十」もあるぞ、「森」は「十」が三つあるとも言えるし、縦に「十八」と書いて押し潰せば「木」、それが三つだから「十八、十八、十八」・・・といくらでも「名前に数字の入っている都道府県」にしてしまうことができるわけです。
やっぱりCopailotも使い物にならないみたい・・・。
その時ふと思い出して、先発のChatGPTならこの一年半余りの間に急成長しているはずだから、多少は良い答えが出てくるかもしれないと思い直して、聞いてみるとこちらは、
『日本の都道府県で、名前に数字が含まれているのは「東京都」と「兵庫県」です。東京都の「東」は数字の「十」を含むと考えることもできますが、兵庫県は「兵庫」の「兵」の音が数字の「二」に似ているとされることもあります。ただし、一般的には「兵庫県」が数字を含む都道府県とされることが多いです』
と、Copilotよりまだいけない。「「東」は数字の「十」を含むと考えることもできます」は「東」も「十」も「とう」と読めるということなのか、「東」という漢字の中に「十」を見つけ出すことができるという意味なのか、それも不明。「兵」が「二」というのはさらに分かりません。最後の「ただし」以下は接続が変です。
【得意なことがあるのは知っているが・・・】
議事録作成だとか、原稿の下書きだとか、あるいは英文和訳・和文英訳、簡単な絵をかくこと、プログラミング等々で生成AIが優れた仕事をすることは知っています。ただ今の私に翻訳も描画もプログラミングも必要なく、私の考えていることを原稿にする下書きについては、おそらく今でも私の方が優秀です。なにしろ私の頭の中のことは、教えてやらないとAIは何もできないからです。
今、私が最もAIに望んでいるのは、私の知らないこと、私の聞きたいことを、調べたり思い出したりして教えてくれることです。その一番期待したい部分で生成AIはたびたびミスをする。分からないならまだしも、困るとウソをつく。またたまに正直になっても「2021年以降についてはデータがないので、分かりません」とまるで年寄りみたいなことを言い出す。
したがって私の中では、生成AIは「未だ使い物にならない道具」「もう少し様子を見ていたいアプリ」のままでした。しばらく放置されるべきものですが、それにしても気になる・・・。
【やっぱり生成AI、使えるかどうか、もう一度挑戦した方がいい】
ところが先週、もう一度生成AI(ChatGTP)に取り組んでみようかと思うでき事がありました。NHK大河ドラマ「光る君へ」について書くうちに、専門家の言う「道長と紫式部が恋愛関係に陥る可能性はゼロ」「清少納言と紫式部も顔を合わせることはなかった」についてほんとうにそうなのかどうか、検討するうちに一人の手に余るようになってきたのです。
使いたい知識はほとんど頭の中にあります(というか、年寄りは頭の中にある範囲の知識でしか考えない)。しかしそれが正しいかどうかは極めて不安定なのです。
学生であった日は半世紀も前のこと、現場で教える側にあった日もすでに20年以上前になりました。知識自体が古くなっている場合もあれば、私の頭が錆びついてとんでもない思い違いをしている場合もあります。
だからひとつひとつを確認しなくてはならないのですが、「平安京の人口はどれくらいだったのか」とか「そのうち貴族は何人くらいだったのか」とか、「貴族とは何だったのか」とか「貴族の生活とはどのようなものだったのか」とか、調べ始めたらきりがなくなり、どうしても助手みたいな存在が必要になってきたのです。その時思い出したのが徳島県に住む友人のK君のことば、
「あまり優秀とは言えないが、真面目で頑張り屋の助手を雇っているようなものだ」
そこでもう一度、生成AIを使ってほんとうに助手みたいな仕事をしてくれるかどうか、試してみようと思ったわけです。
とりあえず貴族の数について聞いたら教えてくれるのだろうか――そこで従来と同じ方法で何が起こるのか、見てみることにしました。噂によるとChatGPTはすさまじい速さで成長してるらしいので。
(この稿、続く)
*1:実はここで私はウソをついています。「道」の最初の二画、カタカナの『ソ』みたいなチョンチョンを外して部首の『しんにょう』を外しても、漢字の「百」にはなりません。そこからさらに「一」を外して「自」になるだけです。