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「第三次世界大戦は始まっているのかもしれない」~軍事オタクとしての金正恩も参加してくる

 清水寺今年の漢字が「戦」になった。
 言われずとも確かに、今年一年はウクライナの戦争報道に明け暮れた。
 陰に陽に参戦する国々は第一次世界大戦に匹敵する。
 もしかしたらもう第三次世界大戦は始まっているのかもしれない。
 という話。
(写真:SuperT)

第三次世界大戦は始まっているのかもしれない】 

 毎年恒例の京都清水寺の「今年の漢字」が「戦」だそうで、昨日発表がありました。むべなるかなという感じです。今年2月末に始まったウクライナ戦争は当初の見通しを大きく外し12月の現在も続いています。来年の末になっても終わらないという専門家もいます。

 構図としてはロシア対ウクライナで始まった戦争が、今や西側連合対ロシア・イラン・北朝鮮といった感じになっており、半年以上もウクライナ国内で行われた戦闘も、クリミア大橋が爆破され、最近ではロシア領内奥深くの基地が直接襲われるようになって、さながら第三次世界大戦西部戦線といった様相を呈してきています。
 もっとも関与している国の数は第一次世界大戦と大差なく、それが第二次大戦のはじまるまで「欧州大戦」「ヨーロッパ大戦」と呼ばれていたことを考え合わせると、すでに第三次世界大戦は始まっていると言って過言ではないのかもしれません。

 ただ印象として「世界大戦」がすんなりと結びつかないのは、まだ太平洋沿岸地域で戦端が開かれていないからです。北朝鮮は祭りの花火のごとくミサイルを打ち続け、中国も戦闘機が台湾の防空識別圏を日常的に侵し、尖閣では海警局の船舶が繰り返し侵入を計っていますが、それでも戦闘の火ぶたが開かれたわけでもありません。しかし万が一、ここで戦闘が始まったら、文字通り世界が参加する第三次世界大戦になってしまいます。

 中国も北朝鮮もそんなバカなことはしないと思うのですが、ウクライナ戦争について今年2月の段階ですら、ロシア・東欧の専門家たちは「いかにプーチンと言えどウクライナ侵攻などといった愚かなことはすまい」と口を揃えて言っていたのです。
 独裁国というのは指導者の思いつきひとつで何でもできてしまうということは、2022年2月のウラジーミル・プーチンが教えています。習近平金正恩も、いまなら何でもできそうです。第三次世界大戦東部戦線の戦端は、ほんとうに開かれてしまうのかもしれません。

【軍事オタクとしての金正恩

 私は北朝鮮について、誰も納得のいく説明をしてくれないことに苛立っています。
 専門家の中には「北朝鮮があれほどのミサイルを打ち続けるのは、アメリカを振り向かせたいからだ、アメリカを軍縮交渉のテーブルにつかせ、経済制裁を解かせるのが目的だ」といった言い方をする人がいますが、目立ちたがり屋のドナルド・トランプですらいうことをきかなかったのですから、バイデンでも他の指導者でも、“北朝鮮と対等な立場で交渉”など乗ってくるはずがないのです。
 
 私にはむしろ、
金正恩はそうとうな軍事マニアで、戦争オタクが各国の軍服や装備品を集め、プラモデルやジオラマをつくって楽しむように、たくさんのミサイルをつくってあれこれ打つのが大好きなのだ」
と言われた方が分かる気がするのです。私だっていちおう男の子ですから、「お金に糸目はつけないから、好きなだけつくってごらんなさい」などと言われたら、嬉々として戦車やらミサイルやらを並べ始めると思います、いまでも。
 列車から発射するタイプのミサイルだの超々音速ミサイルだの、あるいは発射場でのあの嬉しそうな表情を思い浮かべると、それが何よりの証拠だという気もしてきます。ピョンヤンの大通りの高層マンション群も、もしかしたら実物大ジオラマの一部なのかもしれません。

【それでも東アジアでの戦争は始まる】

 ただし懸念されている第7回目の核実験、やれば国連決議で艦船の臨検を含む強力な制裁が科され、北朝鮮は完全に首が締まってしまいます。制裁決議案を否決すれば、それはすなわち「世界中どこの国でも核開発をしてかまわない」というメッセージになりますから中露も反対しないでしょう。
 そうなるとあとは実力で現状を打破するしかなくなります。米軍が出てきたら戦術核で一気に壊滅すればいいだけのことです。軍事オタクなら一度はやってみたい試み――。そうなったら、ウクライナ戦争は一気に第三次世界大戦らしくなってきます。