「今のままでは未来はないとロシアに教えたい」~攻め込んだ方が有利とは必ずしも言えない戦争の妙 

 戦争は攻め込まれた方が負けるとは限らない。
 侵略された側は負けなければ勝ちだが、
 侵攻してきた方は、勝たなければ負け。
 だからロシア国民よ、今のうちに大統領を引きずりおろせや!

という話。

f:id:kite-cafe:20220314201717j:plain(写真:フォトAC)

 

【戦国時代の籠城戦、敵は黙っていても帰るときは帰る】

 昔、歴史の研究授業の研究会で、ある先生が、
「◯◯藩が籠城という最悪の選択をしなくてはならなかったのは――」
といったとき、なにかものすごい違和感があって、けれど違和感の所在がうまく掴めずにもたもたしていたら、議論が先に進んでしまったことがありました。
 終わった後でなにが変だったか考えたら、分かったのは「籠城戦は最悪な戦法か」ということです。世の中のほとんどの城郭は戦闘用につくられていて、だとしたら最初から籠城予定ですから最悪なわけがない、そんなふうに感じたのです。
 のちに分かったのは、籠城はそれなりにかなり有効な戦法だということです。

 籠城のもっとも有効な戦い方は籠っている間に友軍が到着し、城の内と外とで挟み撃ちにする場合です。これだったら敵を敗走させられます。しかし友軍が来なくたって大丈夫な場合はあります。相手が諦めて帰ってくれればいいのです。戦国時代の歩兵は半農兵士でしたから、田植えや稲刈りの季節になると帰らないわけにいきません。したがって籠城側は農繁期まで堪えればたいていはどうかなったのです。
 その場合、被害はこちらだけで侵略軍は無傷かというと、兵力は無傷であるにしても、戦費はムダになるわけです。せっかく遠征してきたというのに何も取れずに帰ったら丸損。そして実際に包囲を解いて地元へ帰った例は、いくらでもあるのです。

 では実際問題として戦費はどれくらいかかるかというと、非常の簡単な計算法があります。
 例えば豊臣秀吉小田原城を取り囲んだ時は総勢20万人だったといわれています。その兵たちを食べさせるためにひとり一日1000円かかったとすると、20万人で総額2億円。それが毎日かかるわけです。1000円は最低を見積もっただけで、実際には1日2億円ぽっちで済むはずがありません。
 武将として秀吉は後半のほとんどを兵糧攻めで戦いましたが、それは敵が城内に持ち込んだ兵糧をはるかに上回る兵糧を確保できている、という裏付けのあってのことです。つい先日のNHK「鎌倉殿の十三人」でも、
「定石ですが、やはりここは兵糧攻めかと――」
「兵糧は我らも苦しゅうございます。先に音を上げるのは こちらかと」
と言ったやり取りがありました。

 領土に攻め込んでくる敵がいた場合、相手が撤退したら大損させるわけですからこちらの勝ちです。ですからベトナム戦争北ベトナムの勝利、現在のアフガニスタンは今のところタリバンが米軍に勝った戦いと言えるのです。
 さてウクライナ戦争――。

 

【金だけ考えればロシアの惨敗、しかも地獄の惨敗】

 ロシアはウクライナに15万人の兵力を投入しているといわれています。その戦費は一日につき2・3兆円だそうです。
 ロシアの国防予算は2020年で617億ドル、今日の円=ドルレート(1ドル117.8円)で計算すると7・3兆円。国家予算全体でも37兆円ほどしかありませんから大変です。ウクライナに16日間いるだけで国家予算の1年分を食い尽くしてしまうわけで、すでにその16日間は過ぎてしまいました。
 勝ってウクライナから賠償金を取るにして取り切れるものではありません。

 日本の戦国時代の国盗りでは、勝てばその国の資産を総取りすることができました。だからやってみる価値があった(いいことではないですが)。しかし今のロシアは戦闘に勝っても負けても先にあるのは地獄だけ。違うのは日数をかければかけるほど地獄が深くなるという最悪の状況です。

 ロシア国内にはウクライナ侵攻を正義の戦いだと信じている人も多いそうです。しかしその正義はあまりにも高くつきます。
 ロシア国民よ、今すぐ大統領を引きずり下ろしなさい。そうしないと向こう20年、ソ連崩壊後の地獄の日々が続きます。