カイト・カフェ

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「私たちはほんとうに差別者なのか」~新型コロナ差別について考える①

 文科省がコロナ感染者への差別や中傷しないよう緊急メッセージを出した。
 しかし差別・中傷の状況はそこまでひどいものだろうか?
 みんなで反省し、みんなで善処しよとするその前に、
 やっておくべきことがあるのではないか、

というお話。

f:id:kite-cafe:20200826070839j:plain(「マスクをする女性」 フォトACより)

 

 【文科省が緊急メッセージを出した】

  昨日のNHKウェブニュースに次のような記事がありました。
新型コロナウイルスに感染した人への差別や中傷が後を絶たないことから、文部科学省は子どもや教職員、それに地域住民に対し、差別につながる言動を行ったり同調したりしないよう呼びかける緊急のメッセージを25日発出しました」
(20.08.25NHK「コロナ感染者への差別や中傷しないで 文科省が緊急メッセージ」
 
 記事は続けて、
「この中では、
▽児童生徒や学生に対し、感染した人や症状のある人を責めるのではなく励まし、温かく迎えること、
▽教職員に対しては子どもたちが誤った認識や不確かな情報に惑わされず、科学的根拠に基づいて行動できるよう指導することを求めています。
そして、保護者や地域住民に対しては、
▽感染者への差別や偏見、誹謗中傷などを許さないこと、
▽感染した個人や学校を特定して非難するなど、周囲で差別につながる言動があった時は同調せず、やめるよう声を上げてほしいと呼びかけています。」

と書いてあります。一応それはごもっともなことなのですが、私の中には幽かな、しかし確固とした違和感が生れました。
「日本人って、そんなに冷たい民族だったのか?」
ということです。

 

【示されたコロナ差別の実態】

 昨夜の「ニュース・ウォッチ・9」でもこの問題を扱い、国立成育医療研究センターが6~17歳を対象にしたアンケート結果として、
もし自分や家族がコロナになったら、そのことは秘密にしたい・・・32%
コロナになった人とはコロナが治ってもつき合うのを躊躇う・・・22%
自分が(コロナで)いじめられている・・・1%
いじめられている人がいる・・・3%

という結果を示していました。
 また、親が医療関係の仕事についていたり感染拡大地域に出かけたりしたことなどをきっかけに子どもを”コロナ“と呼ぶ例のあることや、奈良県の大学のラグビー部で集団感染のあった際、ラグビー部以外の学生が教育実習を断られた例などを紹介して差別のはびこる状況を説明していました。

 しかし大半は子どもの世界のことですし、教育実習の件では断った学校または教育機関にどれほどの問題があったのか、私は首を傾げざるを得ません。

 子どもなんてそんなものなのです。だから教育が必要なのであって、親や学校がきちんと指導しなければならないのは当然です。教育実習の件では感染したラグビー部員の濃厚接触者のさらに友だちである可能性はないわけではなく、大学が責任を持ってPCR検査を受けさせ、陰性確認をしてから実習校に送り出すなどの制度づくりをすればよかっただけのことです。

 
 

【全体が悪く言われる、反省しなくてもいい人が反省する】

  私は、こうしたニュースが流されるたびに、海外で引用され日本人はこんなに酷いと宣伝されるのが嫌なのです。
 さらに、日本人はすぐに反省したり謝ったりすると言われるように、こうしたニュースが流れると差別した本人よりも、神経質なまでに誠実な人々が率先してお詫び行脚に出たり、過激な一部は差別者を炙り出して吊るし上げようとしたりします。それも間違っている。

 コロナ患者や医療関係者を取り巻く環境に問題がないわけではありませんが、だからと言って日本人全体が反省したり、 “お上”から指導を受けたりしなくてはならないような内容ではないでしょう。
 国内に1憶2600万人もの人間がいれば、その全員が清く、正しく、感染者も医療関係者も温かく迎え入れ応援する人、というわけにはいかないのです。だとしたら実効性の疑わしいメッセージなど出している場合ではなく、具体的な対応策を示していくべきなのです。

 実際に、差別者などほんのわずかなのです。
 その数はどれくらいだと思います?

(この稿、続く)